No.119 魔女狩り

「ここか、お前の家か」


「ええ。小さなところですが、どうぞ」




リッカは土の色のような木の扉を開ける。

彼女の家はどうも村の端にあり、ひっそりとしていた。

どこか距離を置かれているようなそっとしておいてほしいと言っているような場所にあった。

村全体としてドイツの街並みを感じたが、リッカの家もまた同じような温かみを感じた。

扉の前には数段の階段があり、うちはそこを上る。

サンディもまたうちの後ろから付いてきて小さな階段を一段一段上っていた。




「サンディ、お前はこのベランダにいてくれないか??」


「ワン」




リッカの家にはベランダがあり、椅子や机などが置いてあったが、サンディが寝転んで大人しくできそうなところはあったため、リッカに了承を得てサンディを座らせた。

家の中に入ると寒い外とは違い、温かみを感じた。

姉弟は全員眠っており、リビングが誰もいない状態になるためか暖炉の火は消してあった。

リッカは入るなり、薪を暖炉に投げ入れ、火を灯す。

うちは自由に座ってくれと言うことだったのでこれまた木の温かみを感じるダイニングテーブルのところに座った。

リッカは奥のキッチンに消えていく。

その間にうちは窓の方を見ていた。


窓の奥には少し雪が積もり、手すりの部分に軽く白くなっている。

奥の方に見える村の中心はすっかり暗くなっていた。


これがシー族の村、住処。

想像していたものとだいぶ異なり、人間と変わりなく普通の村。

なんだかあまりうちらと変わらないな。




「アメリアさん、紅茶で良かったですか??」



リッカは両手にティーカップを持ち、キッチンから出てきた。

そのティーカップからはほんのりと湯気が出ている。

うちは1つのティーカップを貰い、中を見る。

赤みがかった橙色のティーから香りが漂い、レモンの一切れがちょこんと入っていた。




「ああ。大丈夫だ。わざわざありがとう」


「いいえ。それで兄の話なんですが……」




リッカは自分のカップを置きながら、自分もうちの向かいに座る。




「私の兄は5つ上で、さっき述べた通りムーンライトに変身することができました。珍しいムーンライト犬に変身できたので村でも活躍が期待されていました」


「期待?? 一体何の期待だ??」



















































魔女狩り・・・・です」























「魔女狩り??」


「ええ、そうです。以前は魔王に勝つという使命を持っておりましたが、今はいませんので。魔女といえども全ての魔女を狩るつもりはないです」


「悪党のものだけを狩っているのか??」


「ええ。冤罪には十分注意はしておりますよ」


「そりゃあな」


「でも、その魔女の中でも標的にしている相手が私たちにはございます」




リッカは目線を少し落とすとすぐにうちの目を真っすぐに見つめた。





































「私たちは長い間紅の魔女と戦っております」

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