No.70 海賊登場
ニトからご挨拶を受けたアメリア。
うちはまたさらにそこからあっつーい視線をメインキャラたちだけでなくクラス中から浴びることになったのだが、気にしなかった、うん、気にしないようにした。
きっと、反応したら面倒なことになるだけなのは分かってる。
質問攻めがやってくる。
ここは真剣に授業を受け、すぐに自室か研究室に戻ろう。
うん。
そうして、うちは『誰も話しかけるんじゃねえよ』オーラを放ち、なるべく1人でその日を終えようとしていた。
夕方、本を賃借するため図書館に行っていたのだが、自室帰りに彼女と会った。
「あーるーじぃ」
「あ」
彼女はどこで習得したのか知らないが、廊下の天井にぶら下がっていた。
うちの(仮)スパイのゾフィー。
久しぶりに会ったような気がする。
てか……。
「おい、お前!!うちを守るって言ってたじゃねーかっ!?早速何破ってんだよっ!!」
うちはさかさま状態のゾフィーに向かってビシッと指をさす。
「そう、怒らないでくださいよ。こっちだって事情があったんですよ。それにアメリア様めちゃ強いじゃないですか」
「それでも何があっても守るって言ったじゃねーかっ!?」
「そんなこと言ってませんっ。あ、事実ですので詳細は43話でご確認くださいませ」
「おい、どこ向いて話してんだ。ともかく、守れなかったお前に
「えー!!そんなっ!?」
ショックだったのかよく分からんが奇妙に叫ぶゾフィーは天井からうちの目の前に降りてきた。
ゾフィーの体つきは最近までどこぞの令嬢とはほど遠く、それなりに筋肉がつき始めていた。
これだと、そのうち
『はい、サイドチェストォーーー!!』
とか言ってやってきそうだな。
アメリアがじっーとゾフィーの体を見ていると、ゾフィーはショック顔から照れたような表情をしていた。
「いやーん、アメリア様。そんなに私の体を見ないでくださいませぇ」
「……うるせぇ」
うちはゾフィーの溝内に一発入れる。
ゾフィーは『ウゴっ』とか言っていたけれど、吐くことはなく跪くだけだったので、コイツに一発入れるぐらいは大丈夫なんだなと判断した。
「ウフフ……」
「へ?」
俯くゾフィーはお腹を押えつつも不気味に笑う。
そんな様子にアメリアは冷や汗を感じた。
お前……まさか……。
不気味すぎるゾフィーは仰ぎ、立っているうちを見た。
「アメリアさまぁ……、もっと、もっと刺激をくださいませぇ……」
「……」
うちはゾフィーの気持ち悪さに思わず1歩後ろに下がる。
「アメリアさまぁ……。ハァ、ハァハァ……」
微笑むゾフィーは頬を赤く染め、甘い声でうちを呼ぶ。
「おいっ!!やめろっ!!お前、変な扉を開くなっ……なっ!?」
うちが距離を置いているとゾフィーは近寄ってきてうちの足を抱く。
そして、顔をすりすり。
「アメリアさまぁ~」
「バカっやめろって!!お前、そんなキャラじゃなかっただろ!!ドMじゃなかっただろ!!」
「私は元々こんなキャラですわぁ、アメリアさまぁ~」
「クソっ……おりゃあ」
うちは自分の足を捕えているゾフィーを思いっきり蹴る。
すると、ゾフィーは離れたのだが……、
「あ~ん♡」
「キモい声を出すな」
うちは危なすぎるゾフィーから離れたいあまりすぐに勢いよく走り出す。
あのゾフィーはまるでさっちゃんじゃないか……。
自室に戻り、いつも通りベッドに入ったアメリアだったが、夢の中でゾフィーが何度も出てきてうなされるのであった。
★★★★★★★★★★
「姉さん、なんだか教室の前が騒がしいですね」
「ん??」
うちはいつも通りルイと自室を離れ、教室に向かっていると、入り口でエリカに出会い、そして、秒でフレイに会い、そんでもってハオラン、クルス兄妹に会い……そして、結局メインキャラたちと教室の近くまで来ていた。
「何か人がいっぱい集まっていますね」
「……何かあったのかな??」
エリカとハオランはそれぞれつぶやく。
うちは目を細め人が集まっている場所を観察したが、人がいすぎるあまり何が起こっているかは分からなかった。
「あれーーー??王子さんじゃん。ということは……」
人込みからとてつもなーーーーく聞き覚えのある声がする。
すると、人込みの中から1人の人がこっちに向かってきた。
その1人の人とはトッカータ王国専属海賊騎士、テウタ・ムラカミだった。
「やっぱいた!!」
「!?!?」
「よっ!!アメリア!!来ちゃった!!」
今日来るなんて聞いてねぇぞ。
しかも、学園に。
「な、なんでお前がここに……??」
テウタはにっこりと満面の笑みで答える。
「あ、私、今日からここに通うことになったからね!よろ!!」
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