023 仲間というもの Ⅳ
二人は違う場所を目指し、再び地下道を走り出す。
「【暁の猫】は、団長の下に副団長、そして、五隊の隊長、副隊長に構成されている。この街では、奴らが最強だろう。団長はともかく、五隊の中では、二番隊・隊長の若宮が一番強い」
「あいつが……」
「隊長以上の奴と出合い頭になったら戦闘は避けておけよ。もし、避けられない状況であれば、仕方がない……。戦え‼」
今まで聞いたことが無い言葉が飛んできた。
二人は、大河と別れた所から数キロ先の地上へとつながる階段の前にたどり着いた。
「ここが、一番ギルド本部に近い場所だ。お前はここから潜入しろ」
「瑞希さんは?」
「私はもう少しした場所から潜入する。やる事があるからな」
「分かった。本部に潜入したら地下への道はどこから入ればいいんだ?」
「北の方を目指せ。そこに階段がある」
「じゃあ、行ってくる」
「行ってこい‼」
祐斗は階段を上がるが、途中で立ち止まり、瑞希の方を振り返る。
「瑞希さん」
「なんだ?」
「ありがとう……」
祐斗は、階段を駆け上がった。
呆気にとられた瑞希は、照れくさそうに微笑む。
「ありがとうか……。初めてだな。あいつに言われるのは……」
瑞希は、再び走り出した。
(頑張れよ、祐斗‼)
祐斗は地上に上がり、走り出す。
「団長! カルロス団長‼」
部下の一人が、カルロスという呼ばれる男を呼んだ。
「なんだ! 誰が俺の部屋に勝手に入ってもいいってい言った‼」
「す、すみません! ですが、緊急事態なんです‼」
「何っ? どうした⁉」
「侵入者です。我が、西区に侵入者が入った模様です‼」
部下が言う。
「敵は何人だ⁉」
「現在、確認されているのはたったの一人です」
「一人だと? 誰だ⁉」
「分かりません! それが『強い』としか……」
「ちっ……。分かった! 副団長、隊長、副隊長を全員この部屋に集めろ‼ 手の空いている奴は、敵を殺せ‼ 敵を打ち取った奴には、褒美をやるとな‼」
部下はカルロスの言葉を聞き、すぐにこの場を去った。
(こんな時に侵入者だと⁉ ふざけやがって! 一体、どこのどいつだ⁉)
カルロスは、この【暁の猫】の団長である。
「まさか! いや、あれは若宮が深手を負わせたといっていたな……。一体誰が……」
カルロスは、爪を噛みながらイライラしていた。
十分後————
「いいか! 我がギルドに侵入者が現れた。殺せ! 奴らを殺せ‼ 手段は選ばん‼ これは団長命令だ‼ 俺の計画を止める奴は誰だろうと許さん‼」
カルロスは、鬼のような顔をしていた。
ただならぬ緊張感が流れる。
「行け! 敵を
カルロスが言うと、
「「「「はい‼」」」」
隊長や副隊長たちが返事をし、それぞれの持ち場に向かった。
【暁の猫】に対し、三人の侵入者が挑む。
この頃は、誰もが予測もしていなかった。
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