姿が変わっても
うゆ
お気楽な元堕天使とそのお世話役の元天使
-王令195年-
エルは呆然と立ち尽くしていた。戦いの真っ最中だというのにも関わらず座り込み、俯き、気力を失っている。まだ僅かに地平線から顔を覗かせている太陽が、「意気消沈」といった言葉を体言化したようなエルの姿を引き立たせている。
そんなエルのことを心配する声はどこにもない。それもその筈、付近には人っ子一人いない。代わりに魔法による攻撃で、木という木が悲鳴をあげるかのように燃え盛っている。
エヌは、掌に光を失い禍々しく変貌した「光球だったもの」を浮かべている。顔にはそれに負けないくらい狡猾な笑みを浮かべている。
エヌが己の勝利を確信し、エルへぽつりと一言告げるも、エルは一切の反応を示さない。
その様子を確認したエヌが掌に浮かべる「光球だったもの」をエルへ放とうと動いた瞬間、
エルは何かを思い出したように気力を取り戻し、動き出した────
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とある広場にて―――
「えらく変わったもんだな」
「まあ、色々あったもんな。この61年の間に」
「俺たちのときはこんなに繁栄した文明なかったぜ?」
「おまえが暴れたから全部無くなったんだよ……」
「……それにしても人間って凄いなぁ」
「露骨に話を逸らすな」
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