皆さんは、タピオカ、という食物を知っていますか?
タピオカ。キャッサバという芋をすり潰し、硬め、寒天のような食感にしたもの。現在、女子中高生の間で大流行していて、その為か、価格は高騰の傾向にあり、店によっては、最も安い種類でも、600円はする、という。
何故、こんなにもタピオカは、少女達の心を掴み、離さないのだろうか。
何よりも大きいのは、少女達の自己顕示欲、だろう。最近では、タピオカの写真を多少フィルターをかけてSNSに投稿するだけで、多少のいいねを得ることができる、と聞く。
SNSという小さな箱庭で優位に立つための数少ない手段の一つ。それが、少女等にとってのタピオカ、だった。
ならば、そのタピオカの需要が上がり、需要と供給の関係が成り立たなくなったら……?
この作品は、そんなあり得ない、しかし、実際に起こるかもしれない事態が起こってしまった世界での、物語である。
『――タピオカが、ないのなら――』