白い残像 19

目を開けると、彼女はもういなかった。


彼がリンクを出ようとした時だった。


「まあ!星山さんじゃない?」


「えっ?」


それは中学時代、耕治が好きだったルリ子だった。


「星山さん、そうでしょう?」


「ルリ子さん!」


「お久しぶり」


「久しぶりだね。ルリ子さんはどうしているの?」


「私は東京の大学に在学しているの。きのう実家に帰ったとこよ」


「そうなんだ。僕は会社に勤めている」


「そうなの。一緒に滑りましょう」


「うん」


二人は仲良く肩を並べて滑って行った。


後に残された白い4本の軌跡は、未来へ、未来へと続いているように思われた。

終わり。

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白い残像 ミッソー @mittsoo

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