白い残像 9
6時になった。
耕治は、信代が来るだろうかと怪しんだ。
あの時の彼女の表情、あまりにも寂しそうな……。
あの顔を思い出すたびに、耕治の胸は締め付けられるほど痛んだ。
あれは本当にもののはずみだった。
わざとやったわけではない。
それは、はっきりしている。
しかし、彼女がそれを理解してくれるかどうかが問題だった。
もう6時15分になろうとしていた。
彼女は来ないかも知れない。
ふっとそんな予感が彼の脳裏をよぎった。
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