八百万の夢路~ヤオヨロズドリーム~
拝師ねる
第1話 プロローグ(悪夢)
また、この夢だ。
冷たく暗い階段を下りている。自分の周りを闇の膜が覆い、重い湿気がさらにそれを包む。ペタペタとした足音が耳に障る。
進んでは駄目だ。何度も何度も繰り返した悪夢。抗うことは叶わず、俺はまたそこに降り立った。
夜、無人、遊園地。
ぽつんと俺はそこに立ちすくむ。親とはぐれた子どものように、あるいは世界に置き去りにされた少年のように。
静寂の中、無機質で無遠慮な光が、地面を照らす。星ひとつ見えない夜空を照らす。
等身大のぬいぐるみたちが、操り人形のような不自然さを携えて、徘徊する。三メートルほどもある動物は極彩色を身に纏い、顔を規則正しく左右に振る。
そいつらは無表情な笑顔を貼り付けて、俺に群がり始める。俺という器を剥がされ、からっぽになった腹を見つめる。
これが、心。俺の中には、何も無い。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます