第2話(不安になってください。失敗してますよ)

カドバーン王国国王、カネウスは福祉政策で、国民1人あたり一律に月15万スリラのベーシックインカムを導入した。贅沢をしなければ生きていける程度のカネだ。換わりに消費税を30パーセントにした。当然、財政逼迫。半年で財政赤字。なんとしてでも財政を立て直ししなくてはいけない。そこでカネウス国王は友好国のヨコヅーナ王国に助けを求めた。ホットラインでカネウス国王は〝ソルト・ヨコヅーナ国王〟と話し合う。


「やあ、ソルト」

「久しぶりだな、カネウス。ホットラインの直通、政策の塩梅は良くないそうだな」

「包み隠さずに言おう。大失敗だ。そこでだ、ソルトオイルの輸入を大幅に増やそうと思う」


ソルトオイルというのは温室効果ガスを殆ど出さない化石燃料だ。ヨコヅーナ王国でしか採れない。


「更に財政を圧迫するぞ? 良いのか?」

「我がカドバーン王国で採れるハイパーディトゥ鋼で自動車の製作をしている。鉄より軽く、強度がある。これにソルトオイルを組み合わせれば、他国のネガティブキャンペーンに打ち勝つ事が出来る」

「ハイパーディトゥ鋼は兵士の鎧など武具に正式採用してるそうだな。自動車に回す分はあるのか?」

「都合を付ける。ソルト、助けてくれ」

「…………実は最近、隣のホーケー民国がソルトオイルを狙っていて、小競り合いをしている。どうだろう? 私の娘、〝ミタ〟(29歳)とそちらの王子を政略結婚させないか? カドバーンとヨコヅーナ、2つの国が手を組み、強固な同盟国となれば安泰だ」

「それは良い! 私の息子4人のうち、婚姻年齢に達している3人の写真を送る」

「そうしてくれ。ミタは少しワガママなところがあるが、カネウスの子なら寛容に受け止めてくれるだろう」

「子育てにあまり自信はないが、ソルトがそう言ってくれるなら」

「では、またな」

「ああ、また」


カネウス国王は電話を切ったあと、腰が抜けた。外国の首脳とホットラインで通話するのは気苦労だ。


カネウス国王はすぐにカミウス、シナウス、ホモウスを玉座へ呼び出した。それと写真家も。


「我が息子よ。結婚してもらう事になる。ヨコヅーナ王国のミタ王女と」

「それは政略結婚ですか? 父上。私は反対です」


カミウスは異議を唱える。


「良いじゃん別に。兄さんはケンと別れたんでしょ?」

「シナウス、なぜ知っている? ダンスパーティーには出てなかったはず」

「城内でばったり会ったんだよ。丁度いい。兄さんがヨコヅーナのミタ王女と政略結婚すりゃいい。な? ホモウス」

「俺もカミウス兄さんに押し付ける」


カネウス国王は議論を始めた息子達を制止する。


「待て待て、お前達。ミタ王女に3人の中から選んでもらうんだ」


3人は渋々、写真を撮られたが、カミウスの内心はまたヤれる女が手に入るとワクワクしていた。シナウスの内心はソルトオイルさえ手に入れば、自動車の新型を開発出来るとワクワクしていた。ホモウスはホモれる相手が居れば、それで良かった。


ーー前途多難ーー

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