読んでも読まなくても楽しめる的な説明回(3章)
ここでは作中に登場する専門用語など、細かい設定をまとめようと思います。
「この場面実はこんな魔術・魔法具を使っていました!」みたいなものがメインですどうぞ!! の、三回目です。
あてんしょん。
※1~3章のネタバレを含みます。98枚目、(番外)メルデルの逐語録②まで読了済が望ましいです。
<世界設定・専門用語編>
①
②
③各棟渡り廊下:全部で5棟ある浮島の王城を5階でつないだ渡り廊下。場所によって僅かにデザインの差が見られるが、巨大な窓を嵌めていたり、逆に天窓だけだったり、場所によって明暗が大きく分かれているのが特徴。通路を通る利用者を飽きさせないためらしい。
④マツカサ工房 (三棟・三階):魔法具技師、ベリシード・フランベルが息子のフランと共に切り盛りしている魔法具屋。女性好きのベリシードの担当は彫刻、デザイン。息子のフランは魔術付与に関するエキスパートで空間魔法技師の資格を持っている。烈火隊の武器を調整したりするところをみると、腕はいいらしい。
扉の形状が独特で開けづらいのは一見さんお断りの意味もあるが、一番は採寸時に客に逃げられないようにするため。どのように採寸されるのかは作中で少しだけ触れている。もう少しでR15を飛び越えるところだったとだけ言っておこう。
⑤
⑥中央広場の噴水:別称噴水広場。浮島住民の憩いの場。ある男に不特定多数の人間の血を放り込まれたので血みどろ悲惨な状況に。皆で必死になって修復中。我らのデートスポットを取り戻せ。
⑦資料室書庫 (四棟・資料室地下):謎の空間。禁書まがいの歴史書が沢山収蔵されている。出入り口は一階正面玄関の真下。
⑧地下監獄 (一棟・地下):二章でも訪れた監獄。三章では更に深い階層があると言及されているが、ラエルやハーミットは用意された階段の最後の段までしっかり降りている。さて、本当の最深部はどこにあるのやら。
⑨銀の玉座 (四棟・最上階):王のおわすところ。四棟一階にある銀の昇降機を使用しなければ辿り着けない場所にある。他国の人間を招くこともあるのでしっかりと作られているが、もっぱら玉座に座っている時間よりティータイムする時間が長いので、あんまり重要ではない模様。
⑩ポイニクス教会 (二棟・一階):不死鳥信仰の教会。内部は木製で、石のような燃えない素材は一切使用されていないのが特徴。魔導王国に来た人間でも使えるように二棟に配置されている。木材の色を活かした彫刻や床に敷かれた国花のレース編みの技術は古くから伝わるもので、神事を行う際には燃やされる。神話の内容もそうだが、赤いものが好きな国民性。
⑪仮部屋 (五棟・十二階):喧嘩をしたラエルとストレンが支給されていた部屋。筒棟の内側向きに配置されている為、部屋をするとすぐにアクアリウムである。非常に目の保養。室内は二人部屋とあって一人部屋よりは広く寝床も人数分用意されてはいるものの、クローゼットは大きめのものが一つだけで個室のようなプライベート空間は保証されていない。とはいえ、すっかり仲良しになった女友達二人にとっては楽しいお泊り会のような時間だった。
⑫パリーゼデルヴィンド君主国:今は砂に埋もれた砂漠の国。魔導戦争の際、一人の魔族が敵味方問わず殲滅した悲劇から、その国名を口に出す魔族は僅か。浮島にも少なからず心に傷を負った人間が多い。ラエルの故郷だが、当時の幼さから来る健忘故か、生活の記憶は薄いようだ。
⑬術師・導師・術士・導士資格保持者:魔法は「魔力をつかってなんやかんやすること」。魔術は「魔法の難しいやつを詠唱一つで発動させられるようにした」魔法のことを指す。魔術を専門に使用する者を「魔術師」と呼ぶが、この「師」がつく人は
魔術師の中で、国や団体に所属している人間には区別の為「士」がつく。術士にも導士にも言えるが、彼らは立場上何処かしらに所属していることを明言しているのだ。
では、実力の差はどうかというと……強ければ強い、という尺度しかない。特に「導士」は資格であるため、技術が高い水準に達していようが点数が悪ければ落とされてしまう。「術士」はその点、資格所持責任がないので身軽だが、能力を保証する実績がないと信頼を得ることが難しい。また、能力判定に戦闘は含まれない為、導士全員が戦えるわけでもなかったりする。
因みに「導師」を名乗る魔術師は大抵エセか、本国や組織で大きな問題を起こして飛ばされた元導士であることが多い。
ラエルがモスリーキッチンに就職した際は黒魔術士としての雇用では無かったので術師表記のままだった。今回確定した就職先の関係で次章からは「術士」扱いされることになる。
⑭白魔術 (術士・導士):不死鳥を信仰しているだけあって、回復術に関する文献や研究が盛んな魔導王国では重宝されている分野である。回復術は「受けた傷を修復する時間を短縮する」という一種の時魔法にも思えるが、白魔術は時魔法と違って無機物に干渉することはできない。
使用するにあたって大量の魔力消費、精密な魔力操作能力など多くの資質を求められる。何も考えていないように見えて頭の中ですごくカロリーを消費しているので、脳筋のラエルには難しい。白魔導士の資格を魔導王国で取得すると、赤い大きな翼をもつ鳥の身体に十三の棘が生えた星のような模様を重ねた、シンプルな意匠のバッヂが贈られる。
「白魔導士は何があっても患者の命を繋がねばならないが、同時に自らも異端であることを理解していなければいけない」 (106枚目より)という誓いにあるように、教え自体は至極真っ当である。因みに、一番の白魔術先進国は魔導王国ではなく第四大陸にある
⑮赤魔術 (術士・導士):白魔術、黒魔術、両方の実力を兼ね備えた人間にしか選択できない新職種。術士資格を取るには白と黒両方の魔術的実績が、導士資格を取るには白と黒両方の魔導士資格が必要となる。
魔導戦争が終わって後に制定された世界法では人族を白魔術士として指導することが禁止されているので、その抜け道として編み出された枠である。とはいえ、白と黒両方をある程度使える人間でないと魔術士にはなれないので、少なくとも中級魔術まで扱える素質が必要。依然、人族には狭き門である。
<作中魔術編>
①【黒】
幼年期に誰もが教わる生活魔術。成功すると蝋燭の火のような穏やかな赤い火が生み出せるが、ラエルのような未熟者が使用すると暴発する。作中ではほぼ暴発しかしていない。
なお、ラエルは暴発と制御装置を利用してレーザーカッター並みの威力を叩きだした。下級魔術とは……?
②【-】
ベリシードが手袋を洗浄する際に使用した水魔術の下級。文字通り水中に渦を作ることができる。海や川で使うともの凄いことになる。
③【-】認識阻害魔術:
詳細不明。禁術の類で、周囲の人間の記憶に残り辛くなる効果があるらしい。
④【陣】連鎖陣:
魔術陣に使用される応用術式。離れた陣の導線を繋ぐことで、連鎖するように発現させる技術。
⑤【陣】悪戯の術式:
ラエルが言うには「悪戯」の一言だが、ハーミット曰く簡易的に他場所とつなぎ合わせる魔法具を組み込んだ空間魔術の術式らしい。
⑥【陣】空白式:
魔術陣の基本となる円環。中に術式を組みこまない限り、魔術が発現することはない。
⑦【黒】
魔弓を使用するストレンの十八番。ぶっちゃけ弓を引く理由は素早く当てたいからであって、当てるだけであればこの術式の付与で事足りる。
⑧【黒】
魔力の形状を棘状に変化させる魔術。硬質化した魔力も対象内だが、白魔術ベースでやられると対象者に苦痛を与えるだけの拷問術と化す。
⑨【黒】
禁術。被術者は術者を忘却し、知らず知らずのうちに術者に都合がいい行動を取る。対象者に発現する副作用は空白式の乱記述。
⑩【黒】
火の球。当たると燃えて、爆発四散するまでがお約束だが、魔力制御技術の高いストレンが扱えば威力を抑えることも可能。
⑪【-】
土が場にあれば使用可能。角柱を複数出現させる、地形変化の魔術。
⑫【-】
撥水性を付与する魔術。重要な素材や資料、外壁などに使用されることが多いが、今回は絨毯に付与されていた。お掃除の味方。
⑬【-】
揮発性を付与する魔術。
⑭【黒】
弓矢を生成する魔術で、物質を元に弓矢を生成する。ストレンは、核になる素材が手元にない場合『
⑮【黒】
今代の魔王になってから浮島内にかけられた場の呪い。制約を条件に国民と定めた全ての人間に魔力を絶やすことなく提供することができる。制約は「殺したら殺した人も死ぬ」。
⑯【黒】
禁術。謎の男が使用した。時魔法発動時、術中範囲に居る全てのものがセピアの空間に閉じ込められる。生物はその時間に固定され、物言わぬ像となる。
⑰【黒】
魔力吸収。他者や周囲の魔力子をかき集め、己が物とする。
⑱【黒】
人の運動神経を狂わせる事に特化した呪い。身体の動きを操ることもできるが、繊細な魔力操作が必要になる。
⑲【-】
名の通り。失せ物捜しによく使われる。使い方を間違えると捕まる。
⑳【黒】
拳ほどの大きさの氷塊を生成する魔術。水系統と火系統の応用。
㉑【黒】
禁術。岩をも溶かす灼熱。短い詠唱にそぐわない火力に禁術指定を喰らったという歴史がある。
㉒【白】
鎮魂の為に使用される魔術の一つ。使い手の技術によって効力は変化するが、対象との同調を必要とする為に精神力が弱い術者には扱えない。土と水の多系統魔術。
㉓【黒】
死霊術の一つ。死霊術士へ身を落としていたとある女性が時魔術の解除への
使用するには亡骸もしくは遺品が必要。今回の騒動で沈黙した骨兵 (巨大骨も含む)は全て納骨堂に収められている。尚、女性が求めたものは生者の失われた心であったため、どれだけ死霊術を極めようと手に入ることはなかった。
㉔【-】
浮島を覆っている結界の一つで、島を浮かせる作用をしている。他にも気流を操作したり重力を打ち消したり色々しているが、これが消えると島は海に落ちます。
㉕【-】
相手の注意を惹く効果がある土人形。作り手が上手いとなかなか偽物だとは気づかれない。似て非なる魔術に『
<魔法具編>
①水色の手袋:ベリシード工房製の手袋。魔力制御を僅かにサポートし、発現した魔術の余波を限りなく軽減する。つまり暴発しても怪我をし辛くなるという優れもの。
贈られた当の本人は「手袋越しに魔術が使える凄い!」と言っていたが、その真骨頂は全てが布製で内包された魔法陣が刺繍のみで成り立っていることにある。
②マツカサ印のゴーグルー:ベリシードやフランが愛用する『
③
一度使用すると二十時間もつという特性から、傷痕があるラエルやハーミットが愛用しているが、材料費と手間賃のお蔭でまあ高額。開発に関わったハーミットだからこそ特別割で買えている。ラエルは美人割り?
④鍵付きの書籍:一定の条件を満たさない限り閲覧が許されない書籍。魔力保有量や閲覧者制限、暗証番号式など様々なパターンがある。
⑤枕:専ら書見台の代わりにされている。ふかふか。
⑥サンドクォーツクの情報誌:第三大陸の西にある船都市で発行された情報誌。七月巻はラエルが攫われる前に刊行されていた。話題になったスキャンダルから美味しいパン屋の情報、殺人事件など幅広く取り上げる。
⑦薬箱:鼠の巣に置かれている薬剤を保管する箱。小さな引き出しが沢山ついている。
⑧
⑨ペイント液:ラエルが頭からかぶったビビットな塗料。魔術刻印を忌避する魔導王国で開発された、刺青することなく落とせるタトゥー (マジックペインティング)用の塗料。ワンデイ、ウィークリー、マンスリーと、色素沈着がもつ期間によって値段が変わる。
⑩
⑪カード:この世界のトランプのようなメジャーなテーブルゲーム。絵柄の意味を知らずとも、三角形をひたすら積み上げる遊びが行える。
⑫矢尻:魔力操作に長けていれば矢羽がついていなくても凶器足りえる。
⑬黒魔術研究目録:著者はシャーカー・ラングデュシャーデ。発禁になるぐらい酷かったこの本には禁術のノウハウまでびっしりと書かれている。
⑭魔力制御の腕輪:ある一件で酷く怒られたラエルが身に付けることになった金属の腕輪。魔力出力を制御するもので、下級魔術以上の魔術を封じられる。この機能を利用すると魔術の出力を高くして暴発させても酷いことにはならない。いや、なり辛いだけなのでやってはいけない。
⑮
⑯五棟昇降機:ラエルが破壊した昇降機。歯車仕掛けの鎖に吊られている鉄の籠が、1階~12階を行き来する。基本は階段を使う。
⑰
⑱銀の冠:魔導王国の王様が頭に付けている高さが浅いシンプルな銀の冠。何を隠そう鉄製である。銀ではない。内側に捻子が嵌りそうな溝が彫り込まれていて、国外の偉い人に会う時や神事を行う際には手のひらほどの高さの冠を嵌め込む事ができる。あまりやらない。
⑲
簡単に言うと、記述した本人以外には読めない日記帳みたいなものである。現在の所有者はどうやら魔導書代わりに使っているようだ。
⑳
フランベル製の刀剣類は全て、高圧の付与術式に耐えられる仕様で流し込む魔力が多ければ多いほど強力になるというとんでもない特性がある。魔力を流し込む際、空気の屈折率に作用して刀身がめらめら燃えているように見えるのだとか。
㉑
㉒ハルバード:はるばーど。斧槍。魔族や獣人は人族より筋力があるので、個人差はあるものの簡単に振り回す。ただ、カーリーは振り回せないタイプの魔族だったという。
㉓リリアン糸:ラエルが2章で大量に購入してしまっていた糸。カルツェに貰ったリリアンが丈夫で良くできていたのでラエルが真似しようとしたが失敗。大人しく教えを乞いに行った。何とかなった模様。
<生物・食べ物編>
①ノハナ草:
②星果実:切ると星のような形になる果実。熟すると甘酸っぱい果物となるが、青い内は灰汁の強い野菜として扱われる。
③薬草サンドイッチ:ハーミットが作った夜食。茹でたノハナ草と切り分けた星果実を炙ったパンで挟んで切った物。苦い筈だが、金髪少年は食べられる味だと判断した模様。
④じゃがバター:ハーミットが食べたいなぁと思った料理。名前からして美味しそうだが、材料が存在するか調査中とのこと。バターに関してはパンに練り込む油があるのでそれが転用できそうではあるが、問題は芋の有無らしい。
⑤ノハナの花茶:すこぶる苦いお茶。魔導王国で一番苦いとされている。水を飲んでも誤魔化せない青臭さと渋みから、健康志向の中年以降の世代に人気の商品。
⑥ストレン特性焼き菓子:油と砂糖と麦粉を水で練って焼いたもの。暴力的なカロリーとは裏腹にサクサクと胃に入っていく。
⑦紅蓮の茶:魔導王国の国花を乾燥させたものをお湯で戻したお茶。透き通っているものの真っ赤なその見た目から血の色に例えられる。ミルクや砂糖を入れても美味しい。
モスリーキッチンのメニュー。
①砂糖煮込みのサンワドリ:ラエルの失敗料理の一つ。砂糖と塩を間違えたことで甘い煮込み物になった。サンワドリに染み渡る甘い風味が特徴。
②カムメ肉の煮込みタワー:ラエルの失敗料理の一つ。大失敗。味付けは間違えなかったのに自分の手袋を一緒に煮込んだ。責任をとって美味しくいただくまでが料理である。
③弁当:麦のパンとパスタンのミートソース和えを詰めた弁当。誰かさんの手筈で大量注文された。
④ふかし芋と葉野菜の和え物:酸っぱい果汁とスパイスを混ぜ合わせたドレッシングの力でのし上がったとも言える暖かいサラダ。意外に人気。
⑤
⑥海鮮スープ:魚の出汁が効いた貝柱入りのホワイトスープ。良い感じのスパイスが入っている。
ポータブルハウス、ラエルやハーミットの装備、実はすっかり忘れられているあの子 (?)などについては4章終わりに。
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