おとなりの美女の夢を、俺がプロデュースする事になりました

蜂蜜珈琲

1・~しかし、彼女にはある秘密がありまして…~

彼女はただのおとなりさん。

 金木葉かねきようは考えていた。

 どうしてこういう状況になってしまったのか?


『やばい…早く退かないと。でも…』


 彼の体は今、アパートの廊下の床に両肘で体を支えて、肘立て伏せの様な状態になっている。


 彼の下には一人の女性がいた。

 その人はつい先日出会ったばかりのさんだった。


「あ、あの、その…」


 彼女の顔は恥ずかしさで耳まで赤くなっていて、少し涙目になっていた。その表情が葉の加虐心を増幅させていた。


 更に彼女の格好も彼に変なスイッチを入れる要因となっていた。


 上に来ている白のワイシャツは倒れた時の衝撃でボタンが外れており、彼女の豊かな胸の谷間、臍が見える状態になっている。

 美しい陶器の様な白く滑らかな太腿はよりにもよって彼の股下に有り、彼女が少しでも動けば彼の内腿に当たるような位置にある。

 そして、ちょっと前に入浴したのか、濡れて艶のある髪が床に咲く様に広がっており、そこからはシャンプーのいい香りが漂う。

 まるでドラマや映画のラブシーン前の様だった。


『いや、マズいって…俺。彼女はただのさん。早く退かないと犯罪者だぞ…いや、でも、』


 葉は何故かそこから動けなかった。

 それは彼女の放つ『香り』が彼の脳を麻痺させていた。


 それは彼女の体や髪から発せられる『香り』は市販の化粧品の様なものでは無く、もっと強力で、表現出来ない様な甘く良い香りだった。


「…あの、私」


 彼女が口を開いた時、甘い香りがより強くなる。

 葉は目がチカチカし始め、そのまま目の前の美少女に飛び込みたくなる。


「夢見さん、俺…」


 彼の我慢が近くなり、少しずつ荒くなる彼女の吐息が出でいる場所―


 彼女の口に彼は自分の唇を近づけて様とする…


「ダメッ…。んっ…、よう、さん…」


 彼女がぐっと目を閉じる。そこから、一筋涙が流れる。



 そこで彼は思い出す。

 あぁ、こんな事、前にも会ったな…

 あの時もあの子は泣いていたな…

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