河童と人間の見分け方
溝端翔
河童と人間の見分け方
河童。それは日本の妖怪である。
姿形は様々だが、緑色の体に嘴、頭に皿を乗せ水掻きがある手を持つ姿が一般的である。
妖怪とは、危険な場所に子供を近づけない為についた嘘が噂となり妖怪となったと言う意見もあるが、河童に関しては間違いである。
河童は存在するのだ。
現代でも河童は各地に数多く生息し今では日本の30人に1人、学校のクラスに1人は河童が紛れ込んでいるのだ。
しかし河童は年々進化を重ね今では見分ける方法が難しくなって来ている。今日は、河童を見分ける方法を紹介しようと思う。
まず、河童の生息地についてだ。
河童は知っての通り皿の水が乾くと干からびてしまう。しかし、最近は天然水などが販売されており、干からびる心配は薄れて来ている。余談だが、天然水を初めて発売した者は河童だとされている。
それを聞くと生息地はバラバラで見分けるのは大変では無いか、そう言う声がちらほら聞こえてくる気がする。
でも安心して欲しい。河童は“バカ”なのだ。
本能的に川の近くに住んでしまう。
川に隣接するある村では、自分の知る限り住人の全てが河童であった。
しかし、川には週に1回程度行くだけである。先に言ったとおり最近は天然水が出回っているのだ。
さて、生息地について語った所で本題に入ろうと思う。
それは、『河童と人間の見分け方』だ。
「そんな物頭を見ればわかる。」「肌を見れば。」「口を見れば。」そう言う気持ちも少しはわかる。私も初めはそう思っていたのだ。しかし、河童は時代と共に進化している。
“変化”が上手くなっているのだ。
河童は妖術を使える。現代社会に溶け込むため河童は人間になりすます術を身につけたのだ。
ならば見分ける術は無いのでは?そう思うのも無理は無い。だがここで思い出して欲しい。河童は本能に忠実であると。“バカ”なのだと。
ではまずあの親子を見てみよう。
「おかーさん、早く帰ろうよー」
「ちょっと待って!買い物中なの!」
「早くー!」
「もー、お菓子買ってあげるから待って」
「わーい!お菓子見てくるね!」
どこからどう見ても人間の親子である。しかし、河童なのだ。
どこが河童か、よく見て欲しい。
顔は人間。皿もなければ肌は肌色。
上手く人間に化けていることがよくわかる。しかしこの母親のこの後の30分間で簡単に判断することができる。
「んー、これちょっとダメねー。あ、これ良いわね、あ、こっちも良いわね、でも、うーん、悩むわぁどうしましょ。」
そう、この後30分間キュウリの品定めをするのだ。これは完全に“河童”である。
因みに子供の方を見てみよう。
「おかあさんお菓子って言ってたけど、これ欲しいなぁ、これ欲しいなぁ。」
手に持っているのはキュウリのプラモデルである。これは完全に“河童”である。
何故キュウリのプラモデルが?君は見たことが無いかもしれないが店長が河童の店にはよく置いてある。
このように『キュウリに目が無い人間』これは“河童”である。
これで河童の見つけ方がわかったと思う。しかし、これではまだまだ見分けることが出来ない。
次はあの青年を見てみよう。
晴れた日のベンチに座っている彼は誰かを待っているのだろうか。
しかしキュウリの姿は見えない。これでは河童かどうか判断出来ない。そう思うかい?ではもう少し観察してみよう。癖が見れる。
「ふぅー、今日もあっついなぁ、あいつまだこねぇのかよ...喉渇いたな...あっ!」
変化している事を忘れ、頭にあったはずの皿に水をかけてしまった。お陰で髪の毛がずぶ濡れだ。
『街で晴れているのに髪が濡れている人間』それは基本“河童”だ。
後は『スポーツをしている時に頭から水を被る人間』あれも基本“河童”だ。
他にも色々ある。例えば『ハゲた人間』あれは十中八九“河童”だ。頭の変化が苦手な“河童”だ。後は『手袋をしている人間』あれは手の変化が苦手な“河童”。『マスクをしている人間』は、口の変化が苦手な“河童”だ。
そう考えると世の中河童が多く見える。しかしその全てが河童だと言うわけでは無い。その中に河童が《紛れ込んでいる》可能性がある。と言うのが正しいのだ。
いくらなんでもキュウリ農家の20%位は正真正銘の人間なのである。
しかし真実は知らなければわからない。真実を知らない限り、河童は人間なのだ。
これからも私は河童について調べたいと思う。君達も何かわかったら私に教えて欲しい。また河童についてわかり次第報告しようと思う。
河童と人間の見分け方 溝端翔 @runomae-nu
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