第3話 騎士の誓い

「キャアアアアアアアアアア!」


生徒達の叫び声が崩落した体育館から外に向けて響き渡った。

何が起こったのか全く持って理解できなかった俺たちはただ呆然と立ち尽くすことしかできなかった。

周りの教師陣は何をやっているのだろうか。

生徒たちの誘導とかか?

いや……



教師はただこちらの様子を見ているだけであった。



意味が分からなかった。

まるでドラゴンがこの場に現れるということを予期していたかのような……。


「……い!おい!有紀!早く逃げるぞ!」


「あ、あぁ……。」


西条先輩の策略か?

怪我人どころか死者が出る可能性もあるというのにか?

その中俺は逃げる選択を取ろうとしているということか?




「冗談じゃねえ……!」




180度方向を変え、俺は体育館の中にもう一度入っていった。

次の瞬間、ドラゴンは教師たちのほうを向き、唐突に炎を吐き出し始めた。

教師たちは叫ぶ者もいた。

しかし、中にはどちらかというと驚きをもつ者のほうが多かった。


「ど……どういうことだ!?西条!私たちをドラゴンから守る代わりに事件の責任はこちらが持つという話は!」


「どうやらこの学校にはいないっぽいしなぁ……、私は『もしこの学年の中に最後のジェムがいるなら』とは言ったけど……ここにはどうやらいないね!」


「き、貴様あああああああぁぁぁぁぁ!」


なるほど……つまり教師たちもはめられたということか……。

いやどちらにしてもこの女なら依頼を断った時点でこの教師たちを一匹残らずドラゴンの餌にしておいただろう。

しかし哀れだ……他人に行った行動はいつか自分に帰ってくるというものだ。

散り散りになった教師を追っていると、ドラゴンは一人の人間に狙いを定めた。

腰が抜けて動けなくなっている生徒であった。


既に体育館にほとんど人はいなかった。

呆然としている者や

ドラゴンはその女子生徒をゆっくりと眺めた後、口を大きく開き、ゆっくりと頭のほうから食べようとしていた。


「悪いな、大輝……。」


俺の堪忍袋の緒は切れかかっていた。

一呼吸おいてから俺はあのドラゴンを倒すことを決心した。


「我こそは『)(’&%$に』おける英雄『”#$%&’』なり!ただ一人になろうともその剣をもって平和をもたらさんとする使命がある!」


体が一瞬光に包まれたのち、俺の体は光り輝く鎧を身に纏っていた。

誰かが叫んだかまでは理解できたものの、誰一人としてこの状況を理解できるものは俺意外にいなかった。

当然だ、ドラゴンに気を取られていたものばかりであったから。

西条先輩の一つのミスと言えば既に『最後のジェマ』を居ないものと決めつけてドラゴンに視線をやっていたことだろう。


「嘘……だろ……。」


「本当にいるとは思いもしなかったよ……」


「ま………まさか………」


「「『最後のジェマ!』」」

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