第2話

「でも、守護霊って、普通はご先祖様だろう?」

「普通ならね」

女の子は、普通のところを強調する、


「普通なら?」

「うん」

女の子は頷く。


「じゃあ、君はだれ?」

「私、女優の卵だった女の子よ」

「だった?」

「うん。でも、病気で死んじゃった」

「明るく言うね」

「悔いなく、生きてきたからね。君とは違う」

「嫌味か?」

「うん」

はっきり言うな・・・


「で、その女優さんだった、女の子がどうして、俺の守護霊に?」

「さっきも、言ったでしょ?『君はまだ、死んでない』って・・・」

「それで?」

「私もまだ、死んでないんだ。完全にはね」

「幽体離脱か?」

「おっ、さすがだね」

褒められることか?


「でね、神様から使命を授かったの」

「何のだ?」

「君を、立ちなおせる事が出来たら、生き返らせてやるって・・・」

「安直だな」

「そんなものだよ」


神様・・・

もし見ていると言うのなら、きちんと仕事してください。


「で、君の器はどこにある?_」

「器って失礼ね。おそらく、君の体が搬送される病院にいるわよ」

「憶測か?」

「うん」

明るい子だ・・・


「で、君の名前は?」

「私の名前?」

「君は、俺の名前を知ってるんだろ?」

「うん、山田一郎くんだね。今時めずらしい・・・」

「ほっとけ」

「私は、七海志奈(ななみしな)よ。知ってる?」

「知らん。芸能界に興味ない」

「でも、覚えておいてね。生き返ったらサインあげるから」

「楽しみにしておくよ」

遅いが気がついた・・・


・・・って、日常会話をしている場合か?

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