第34話 冬天に啼く
冬天に鳥が啼く。冬天に切りつけて啼く。
鳥よ哭け。鳥よ飛べ。天空を切り裂いて哭け。飛んで切り裂け。切り裂いて一直線に飛べ。空山の頂きを越えて飛べ。
僕は跪いて冬天を見上げる。凍てついた青い空に九十九折の坂がある。高く高く登る坂がある。あの坂を登った先には身心がほどけて解放される世界があるのだろうか。見えない縄から解き放たれる世界があるのだろうか。
鳥よ冬天を飛べ。冬天に哭け。この世界を切り裂いて飛べ。冬天を突き破れ。突き破って冬天を砕け。
僕は粉々になった空の片々を全身に浴びる。安寧はあるか。涅槃はあるか。安らかな眠りはあるか。
鳥よ冬天に哭け。
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