祈り

綿麻きぬ

しゃべり

 あの子はよくしゃべる。しゃべらない時がないほどよくしゃべる。


 授業中、給食中、帰り道、本当によくしゃべる。私はそれに不快感を示すほど。


 私は何故そんなにしゃべるのかと問いかけた時があった。


 答えははっきり覚えている。


「祈ってるの」


 そう答えてきた。その当時の私は何故しゃべることが祈りなのかは分からなかった。


 祈るという行為は神に向かってもっと静かで穏やかに願うものだと思い込んでいた。


 たけど祈るということの本質はそんなものではなかった。


 自分の心を整理して、前に進むためのもの。


 だからあの子はひたすらにしゃべっていた。自分の心の傷を受け止めて、前進するために。


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祈り 綿麻きぬ @wataasa_kinu

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