(参加作品その9)占うバリスタ(青い向日葵様)

   

占うバリスタ



美貌の店主がタロット占いをする喫茶店という噂で、思いがけず有名になってしまったカフェバーPaper Moonは、本来ならば昔ながらの落ち着いた雰囲気の中、常連客を中心に一杯ずつ丁寧に淹れたコーヒーやカクテルをじっくりと味わっていただく小さな店であった。


事情により若くして親から店を引き継ぎ、天涯孤独の身でマイペースに営業を続けてきたバリスタ竜胆(りんどう)聖史だったが、ある日ふらりと来店して、コーヒーの味を褒め讃えた大学生に提案され、アルバイトを雇うことになった。その日から研修を開始したアルバイトこそ、提案者本人の四月朔(わたぬき)颯真である。

実家が販売店であることから客商売には慣れており、真面目で快活な好青年だった。

孤独こそ最良の友と考えていた竜胆にとっては、刺激的な毎日が始まった。


タロットを用いた人生相談を通して、お客様の転機に立ち会うことで、人間としての深みを増してゆく颯真と、彼の実直な言葉に人との繋がりの温かさを思い出す竜胆の間には、いつしか年の差を超えた友情が芽生え、アルバイトと言えど、かけがえのない居場所として一日一日が颯真にとってとても大切なものになってゆく。

そんな日々の中で、お客様の相談と並行して、竜胆の失恋、颯真の大恋愛、離散家族の再会など、それぞれの人生のドラマが展開する。


小さな喫茶店と業務提携先の洋菓子店を舞台に、癒しと再生の物語を描きます。

タロットの知識や占いへの関心がなくても物語として楽しくお読みいただける内容です。



最終話URL

https://kakuyomu.jp/works/1177354054885366105/episodes/1177354054890024577



企画参加時点での最終話PV:8



(私からの一言)

 参加表明の書き込みの際に「最終話は本来の最終話を二つに分ける形で、最近新設されたもの」という説明もいただいています。分割前の最終話のPVは26だったそうです。PV的には「完成したばかりの長編」と考えたら良いのかもしれません。

 読んでみると、なるほど「エピローグ★心が帰る場所」というサブタイトル通り、雰囲気のあるエピローグですね。ちゃんとした喫茶店で、まずはコーヒーの香りだけを楽しむという感覚です。その例えで言うならば、作品全体を読むことが、コーヒーを飲むことに相当するのでしょう。

 こういうエピローグの楽しみ方を実感すると、最終話だけ読む読者の方々の気持ちが、また一つ理解できた気がします。

 なおコーヒーの飲み方で例えてしまいましたが、この作品のエピローグそのもののイメージとしては、コーヒーというよりカクテルっぽい感じです。照明の明るすぎない店内で、小洒落た音楽のかかっている中、友人と一緒にカクテルを飲んだ昔の思い出が、頭の中に蘇りました。

 作中の店内でも、実際にレコードがかかっていて、その歌詞で物語が締めくくられており、オシャレだと思いました。『美貌の店主』が出てくる物語の雰囲気を、上手く伝えたエピローグになっていると感じました。

   

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