みかん狩り 19

「おかみさんがうるさいんじゃない?」


「大丈夫、おかみさんは今日は実家に行って帰って来ないわ」


「わかった」


その夜、僕は彼女の家に行った。


ホームこたつに入り、鍋料理を一緒に食べた。


久しぶりの家庭の味だった。


「村上君、これからどうするの?ずっと飯場にいるわけじゃないんでしょう?」


「うん。それなんだよなあ。自分でもどうしていいかわからないんだ」


「村上君はこんな所にいる人じゃないわ」


「でも、けっこう気に入ってるんだよ」


彼女は僕のそばに寄って来た。


二人はビールを飲んだ。


酔いが二人を大胆にした。


そして、誘惑の甘いわながそこにあった。

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