止み上がり病みあがり

書留綴

プロローグ

トントントン、コトコト。急がないとお嬢様が起きてきてしまう。いつもより遅くに起きたから朝食が出来上がるのがギリギリになってしまいそうだ。 「ふぅ……」 

と一息つき、小窓から空を見る。曇っていて今にも降り出しそうだ。昨日、天気予報でも九十パーセントの確率だと言っていたから降るのだろう。だから、棚から薬を取り出して各料理に入れる。こうでもしないと、お嬢様は飲んでくれないから困る。全く、もう十六になるというのにいつまでも子供だなと思いつつ、見えなくなるまで混ぜる。そして、出来上がった料理を皿に盛り付り、部屋前に運び、扉をリズムよく二回ノックする。

「お嬢様、おはようございます。朝食をお持ちしました。入ってもよろしいでしょうか?」

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