昼間の仕事とバーベル戦略

ミーちゃん「おハローおハローボンジュール!どどどーもどもども!四回目です。まさにスピードグラファー!そんなアニメもあった!感動した!アシスタントのミーちゃんでーす☆よろしくね!そして、ネコトクさんです」


ネコトク「色々混ざってるね……と言うか、ミーちゃん壊れてきてない?『!』がなんか多いし。どうも、ネコトクです、よろしくお願いします」


ミーちゃん「……確かに、自分で自分のハードルを上げていたかも。テンション上げるのが大変でした。血圧も結構上がった感じ」


ネコトク「あんまり、無理しないで下さいね」


ミーちゃん「……お気遣いありがとうございます。ラジオのジングルをイメージしてみたんですが、もう少し工夫してみます。えーと、前回は何の話でしたっけ?ネコトクさんが副業に反対したところまででしたっけ?」


ネコトク「いや、別に私は副業反対ではないですよ、というか、ご自身の人生戦略的な意味合いで、副業をやるのをやめた方が良い人もいる、という話です」


ミーちゃん「あー、そうか。『人生が上手く行っていない人のための方法論』でしたね。んー、あまり詮索するとネコトクさんの心が傷ついてしまうかも知れませんので、しませんが……」


ネコトク「いや、確かに、少し言い方に語弊がありましたし、余計な詮索はご遠慮して頂きたいですが、私自身は『自分の人生があまり上手く行っていない』とは思っていないしね。むしろ良くやっている方だと思う。自己肯定感はそれなりにありますよ。ただ、『今の仕事は自分が本来やりたかったこととちょっと違うな』とか『これからもずっとこの調子で仕事が続くのはちょっと嫌だな(体が持つかな、も含めて)』とか、あるいは、単純に『この調子では老後の資金が貯まるか見通しがちょっと付かないな』程度の人が選択肢のひとつとして考えてもいいんじゃないか?という考え方です」


ミーちゃん「なるほど。では、そろそろ、本論をお願いします。事前説明がちょっとダラダラと長くなってきたと思いますし」


ネコトク「あー、それもそうですね。いや、基本戦略は簡単ですよ。昔からある手法ですし。もったいぶらずに言うと、ポール・グレアムさんの『ハッカーと画家』というエッセイ集にあるやり方です。『1.食っていくためのいわゆる「昼間の仕事」を持つ 2.空いている時間に自分が本来やりたかった仕事をする』。それだけです。ミュージシャンはよくレコード店で働いていたそうですよ、そして、夜は演奏をするわけです。映画監督のタランティーノもレンタルビデオ店で働いていた、という話もありますね。名画を描いた画家達も、昼間の仕事として似顔絵描きなどをして糊口を凌ぎつつ名画の制作に励んだわけですね。仮に、『昼間の仕事戦略』とでも呼びましょうか」


ミーちゃん「……確かに、別に新し目の話では無いですね。役者さんなども、アルバイトの掛け持ちとか当たり前でしょうし、売れない頃はヒ……、失礼、パートナーの女性に支えられてきた方も沢山いるようですし」


ネコトク「いや、その通りですね。別に新鮮みのある話では無い。ただ、これだけインターネットが発達した現代において、『昼間の仕事戦略』が非常にやりやすくなっているわけですよ。昼間の仕事を持ちながら、小説でも音楽でもゲームでも成功している方は沢山おられる。ただ、その前提条件として、『長期間労働が当たり前の業種』ですと、なかなか難しい、いわゆるブラック企業でなくてもですよ。家に帰ったらグッタリ、みたいな話でしょうし。もちろん、それでもやっている人はいますよ、ただ、そこまでの根性が無い人が大半じゃないですか」


ミーちゃん「うーん。現実的に両立出来る人はわずかでしょうね」


ネコトク「なので、例えば、負担が軽く定時キッチリに帰れる派遣社員などになり、夜、自分の本来やりたかった仕事をやる、あるいは、週四日、昼間の仕事でキッチリ働く、ただし、休日の間に自分の本来やりたかった仕事をやる、みたいな生活の方が将来に対する展望がないですか?という話です。しかもですよ、『石の上にも三年』とは言いますが、それを10年くらいやる。50歳の人でも60歳になるまで10年ある訳ですし。当たり前ですが。何らかの芽は出てもおかしくないと思いますが。少なくともノウハウにはなる。上手く行かないならば、さらにもう10年続けても良いですし。『単なる雇われで目の前の仕事をこなすだけ』よりも経済的に成功出来る可能性は高いと思いますけどね」


ミーちゃん「どうだろう、そこまで割り切れる人も少ないとも思えますけど。今の自分の本業を辞めて、低収入になって、自分のやりたい仕事に賭けれる人もわずかな気もする」


ネコトク「出世街道を上っているなら『長期間労働』は実を結ぶと思いますが、『出世街道を外れてしまった』と感じながらも、『とにかく目の前の仕事を終わらせることだけの毎日』なのであれば、私としては、本業に勝算を見出すのは難しい、という話なのだと思いますけどね。それならば、別の可能性を探ってみても良い気もするんですよ」


ミーちゃん「……まあ、ネコトクさんが言っていることは分かりますよ。んー、でもでも。そもそも、普通に副業をする、という考えと何が違うんですか?大体、ネコトクさんの推すクリエイティブ系は、真っ赤っかのレッド―シャンだと思いますし」


ネコトク「いやいや、多分、そこがポイントなのだと思いますが、この『昼間の仕事戦略』において、『本来やりたかった仕事』というのは、投資的意味合いを持っています」


ミーちゃん「今度は投資ですか……株式投資の話に繋がるということですか?」


ネコトク「いや、この場合、自己投資も含まれますし、時間の投資も含まれますし、自分のエネルギーの投資も含まれます。『有望なところに自分のリソースを投入する』ということですよ。だから、すぐにはお金にならないし、試行錯誤も必要ですよ。一見、無理ゲーに見えることも多いですし。『だめだ、自分ではこの分野ではお金にならない』と思ったら、止める判断も必要ですし」


ミーちゃん「大変じゃないですか?」


ネコトク「大変は大変だと思います。ただ、慣れればそこまで大変でもないですね、習慣みたいなものですから。結果が出ない苦しさはともかくとして。ホリエモンなんかも、『派手にお金を使い出す事が可能になる前は、圧倒的な努力が必要だった』みたいなことを言っています。ホリエモンの言葉で言えば、『ひたすら1を足し続ける足し算を続けて結果を出した後に、掛け算の仕事が出来る』みたいな話です」


ミーちゃん「なぜ、『普通に稼ぐ副業』ではなく、『本来やりたかった仕事』をおすすめされるんですか?」


ネコトク「綺麗事を言わせて頂くならば、後悔の無い人生を送りたいならば、『本来やりたかった仕事』はやるべきだと思いますけどね。あと、『本来やりたかった仕事』ならば、踏ん張りも利くし、継続も出来ると思うんですよ。やりたくもない仕事だけをやって、一生を終えるというのは私は嫌ですけどね……。あと金融用語ですが、『バーベル戦略』という言葉があり、9:1の割合で、食っていくための堅い仕事と当たると大きいハイリスクの仕事を組み合わせるという戦略があります。これで、『いきなり破産』みたいなことにならずに、大きなチャンスを狙えます。私はホリエモンのように、『嫌な仕事をサッサと辞めて、いきなり起業しろ』みたいなことを言わないですよ。まあ、ホリエモンのやり方で結果を出されている方もおられますし、ホリエモンは成功者ですから、説得力が違います。だから、あれはあれでいいのだとは思います。しかし、私にはあそこまでのパワーは無いし、出来るだけ安全に大きなチャンスを狙いたいですね。『昼間の仕事戦略』は非常に穏便な戦略だと思いますし、『本業に限界を感じたら、別の生き残り方を探る』というのは非常に妥当な考えだと私は思っています」


ミーちゃん「まだちょっと納得いかないなあ。やはり少し理想主義的すぎると思う」


ネコトク「その通り、奇跡を起こす必要があるのですが、自分の手で奇跡をたぐり寄せる必要がある。前々回のニートの話を持ち出すと、ニートは普段は浪費している訳です、生産性がマイナス。そして、いつか破局であるブラックスワンが

起こる。逆に、普段、チクチク作業を進めて、ここぞというタイミングの時に使うカウンター戦術を行うことで、逆ブラックスワンみたいな奇跡が起きると思うんですよ。じゃあ、例えば、ミーちゃんはお金持ちになりたいですよね?」


ミーちゃん「なりたいです(即答)」


ネコトク「では、空いた時間にお金持ちになるための試行錯誤をやればいいのですよ。『本来やりたい仕事』というのも一種の呪いのようなモノで、私もそれにかかっているクチですが、そういうこだわりがなければ、単に、儲かりそうなジャンルにぶつかっていけばいいと思いますしね、逆に有利とも言える。最近の若者論では無いですが、『特にお金持ちにもなりたくない』という人ならば、特に言う言葉もないですけどね」


ミーちゃん「でも、お金持ちになる方法なんて思いつかないですよ、ミーちゃんとしては」


ネコトク「本とか読めば色々書いてありますよ。ネットでもチラホラ情報は落ちていますが、本の方が信頼性は高いので、前提となる知識を本で付けた上で、最新状況を調べていくという形がいいのかな、と個人的には思います。例えば、ビルの設備管理の仕事、いわゆるビルメンなら、有休もなかなか取れない現場も多いですし、休日も少なめのところが多いですが、暇な時間はかなりあるので、そこでスマホを使って一時期流行った『アマゾン輸入業』とかやってもいいと思いますしね。まあ、今だったら、もっと別の形態が流行りなのかも知れませんが……。いずれにせよ、上手く回り出して、何らかの商品の輸入代理店とかになれば、人生の新しい展望も開けるでしょうしね。クレジットカードを持っていないと資金を回転させるのが出来ないので、とりえず、ちょい難しめの資格を取って、正社員のビルメンを狙ってみるとかね……でも、ミーちゃんは女性か、まあ女性ならではの優位性というのもあるでしょうし、化粧品とか」


ミーちゃん「……んー。なるほど。そこまで説明してもらえば、確かにちょっとは腑に落ちました」


ネコトク「『ちょっと』ですか。ミーちゃんもなかなか手強いね。ああ、そうそう、一点忘れてた。リソースの話ね」


ミーちゃん「はい、どうぞ」


ネコトク「よく、『時間は限られた資源なので、お金より重要だ』という言葉もありますが、確かにそれは一理あるとして、『時間よりもエネルギーが重要だ』という話もあるんですよ」


ミーちゃん「上にある『家に帰ったらグッタリして動けない』みたいな話ですか」


ネコトク「まあ、そういう面もあるのですが、私だけの体質では無い、というのを前提に話させて頂きますと、やはり、『一日で使える集中力』というのは限られると思うんですよ。テーブルトークRPGだって、一日に使える集中力ロールの数が決まっている訳じゃないですか?もちろん、経営者の方は『プログラマはずっと高稼働で(高原状態で)プログラムを打っているべきである』と考えるかも知れませんが、戦略的に動くならば、『今日、集中力を使うべき難所』に見当を付けて、そこに集中力ロールを集中投下するべきであり、あとはその準備や調査や雑務に当てて脳の負荷を下げるべきだと思うんですよ。まあ、世の中は広くて、『一日プログラムを打っていても平気な人』もいますが、その基準をプログラマ全員に当てはめること自体、人月商売の人海戦術と矛盾していると思うんですけどね……」


ミーちゃん「……あー、またネコトクさんの愚痴が始まっちゃった」


ネコトク「あー、ゴメンゴメン。要するに、『一日に使える集中力ロールの数』が問題であり、出来れば、それを多少なりとも、『本来やりたい仕事』に割り当てることが出来れば皆幸せになれるのでは無いか?と思うわけです。そのためには、『長期間労働を続けながら、休日は寝ているだけ。出世の見込みもないのに』というのはどうかな?という話です、簡単にまとめると。まあ、今回はこんな感じかな」


ミーちゃん「そうですね。今回はかなり長くなりましたね、読み応えがあると思います。ミーちゃんも少し眠くなってきました。ではでは皆さん、今回はこの辺で、アディオ・アモーレ!」

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