第2話
気が付けば、だいぶ学校に近づいていた。約二キロある通学路が、今は100メートルを切った。
後ろから人が走ってくる気配もないので、走ることをやめた。
その人は、別段きれいだとか、スタイルがいいとか、勉強に秀でているとか、そんな特徴なんて見受けられない。
だから、ラブコメなんて始まらない。
「あ、あの、ありがとう。」
「いえ、べつに。」
「わ、わたし、2-3の坂上
「1-4の高峰
「あ、うん、なんとかね。」
それとなく別れて、体育館の席に座る。そう、今日は入学式なのに、俺は早速こんなイベントに巻き込まれてたりする。
俺はラブコメは見る側オンリーだ。必ずフラグ回収するなんて、そんなもの物騒でおちおち冗談も言えない。巻き込まれてたまるか。
この世界の男女比率が、1:5だとしても。
なに、ただ男性器にのみ住み着く悪性なウイルスが世界的に流行しただけで、既にワクチンは開発されてるし、再発の恐れもない。先に死んでいった人たちは、運が悪かっただけで、あきらめてほしい。
俺は不幸か幸か、助かった。というかそもそも感染しなかった。父さんは死んだけど、それももう三年前だ。
その結果、大変なことに、国会議員があらかた死滅、女性議員が何とか頑張って一夫多妻制を許可してしまった。すべての国で、だ。人類滅亡の危機に反対した奴はいなかったのだろう。
だから、俺のクラスで前の列には男子が3名、だ。後ろには女子しかいない。俺たち男子に人権があるといいなぁ。
式が終わって、さっそく全クラスの男子が集会、先生に呼び出されたのではなく自主的に、した。
「いきるぞ。」
戦場かよ。
「死ぬなよブラザー。」
だから戦場かって。
「確かに女子のほうが多い、けど、負けるわけにはいかん!」
「「「おお!」」」
「人権を、尊厳を、取り戻すぞ!」
「「おおおおおお!」」
いや、まだ奪われてないから。あと、やっぱり20人しか男子いないって、寂しいな。
摩擦歴=彼女欲しい歴(いなかったとは言ってない) @kugauyo
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