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「クリス!早いな!Mj000Kについて調べたか?俺は昨日家にあった本の中に写真が1枚だけ載ってるのを見つけたんだ。」
他のクラスメイトと話しながら教室に入ってくるなり、席に座っているクリスを見つけたハンスが早速声を掛けてきた。出会った頃から変わらないその様子につい笑いが込み上げて来た。
「なんだよ?何かおかしいか?」
「…いや、お前は変わらないなぁと思って。Mj000か、後で図書室でも資料を探してみよう。」
するとハンスは納得してないような、不思議そうな顔をした。
「何が変わらないって?…まぁいいや、その写真なんだけどさ、よく見たら機体下部に…」
「はーい全員席につけー!特にそこ!ハンス!」
担任のイエフ先生がやってきて早速ハンスを注意すると、クラスのみんなはどっと笑った。ハンスは「なんで俺だけ!」と文句を言いつつも他のみんなと同じように素直に自分の席に座った。
「もうすぐトゥラディアでエアレースのチャンピオンシップがあるが、それに浮かれて他が疎かになることだけは控えるように。航空大に進むには普通科目もしっかり勉強しろよ。今度のテストで赤点を出したらレースに参加できないのはもちろん、観戦にも行けないからな!」
はーい、という気の無い返事が教室中を包んだ。それに対して先生は納得してない様子で続ける。
「お前たち、来年は受験だからな?そろそろしっかり勉強しないと進学は難しいぞ。…まぁ、年に一度の大きなレースだから気をとられるのもわかるが…。ところでハンス、調子はどうだ?次は勝てそうか?」
先生のその言葉に、全員の目がハンスに集まった。自分たちの学年の代表パイロットとしてチャンピオンシップに出るのがハンスだ。先生も心の中では自分のクラスからパイロットが出たことを喜んで、期待しているのだ。
「任せてよ!今度こそ優勝してやるからさ。絶対勝つよ!!」
にやっと笑って公然と言い切るハンスに、クラス中が一気に盛り上がった。
「ハンス!まじで絶対勝てよ!!今度こそヴィルの鼻をへし折ってやれ!」
「ついにゾフィーを抜いて優勝か!?期待してるぜ!」
クラスのみんなの激励にハンスは笑って答えていた。その眩しい光景の中、クリスはハンスを優勝パイロットにするために自分ができることは何でもしようと改めて誓った。
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