第18話

2ヶ月ほどして、彼女は旅立った。

冷たくなってしまった彼女の身体とは反対に、うっすらと残る微笑みはとても温かかった。


彼女のいない写真を撮ることに慣れるまで、時間がかかった。シャッターを切るのが怖くて仕方なくて。どうしても彼女を思い出して、そして彼女のいない現実を見て。1枚も撮らない日だってあった。彼女の存在は、僕にとって順番すぎるくらい大きなものだったのだ。もっとたくさん話せばよかった。笑いあえばよかった。デートに誘えばよかった。カレーライスを作ってあげたかった。

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