第3話 スキルの使い道
「では素材の引き取りは以上でよろしでしょうか?」
「はい、よろしくお願いします。」
アルタとエルザの後ろからカウンターにいるお姉さんとのやりとりを覗き込んでいる。ああやって素材の買取をしてもらうんだね~と感心して見ているところだ。
「あっあと、この子のギルド登録をお願いしますー」
突然目の前が開けカウンターのお姉さんと目が合う。お姉さんはにっこりといい笑顔で対応をしてくれた。
ギルドの登録もステータスプレートのときと同じく水晶のようなものに触れるとカードが飛び出してくる仕組みのようだ。どこから飛び出してきているのか不思議で仕方がない。お姉さんに聞いてみるとどうやらお姉さんも知らないようで「そういうもの」ということらしい。
その後ギルドのランクの説明をしてくれた。最初はFからのスタートでF、E、D、C、B、Aと上がっていくらしい。依頼を受けていると上がることがあるそうだ。まだその上にもランクがあるらしいがめったに上がることもないそうなので省かれる。そしてギルド規約などの説明を受けポチは冒険者となった。
「おおーっこれがギルドカードか~」
ギルドカードを両手で持ち上へ下へ動かしてみたりすかしてみたり、ぽちは大はしゃぎしている。
これで依頼を受けたりすれば一応ここで生きていくことができそうだ。
「あーそうだ。アルタ、パーティーってどうすると組んでることになるの?」
「そうね、一緒に依頼を受けたりかしらね。」
「じゃあじゃあ、スキル確認ついでに何か一緒に受けられないかな?」
ポチがはしゃぎながら依頼ボードのほうへ走っていく。今度はその後にアルタとエルザがついていった。
「そういえばアルタとエルザって冒険者ランクいくつなの?」
「…Eよ。」
「なんだ1個違うだけなのか…」
「多分つぎDランクの受けたらDランクに上がるわよ私達。」
「ふぅ~ん、まあいいや。ランクなんてなんでも。」
依頼は1つ上のランクまでなら受けることが出来ると受付にいたお姉さんが言っていた。パーティだとリーダーのランクの1つ上までだそうな。
「無理に依頼受けなくてもいいんじゃない?」
「え、でも受けないとお金稼げないんじゃ?」
首を傾げアルタと向かい合う。なんで受けなくてもいいんだろうというんだろう…?
「ほら、いろいろ狩りしてきて集まった素材を渡すだけですむ依頼なら無理しなくていいでしょ?」
依頼ボードを指差し書いてある内容を見るように薦めてくる。書かれている内容を見ると、常時依頼と書かれている。内容は今目の前にあるのはスライム玉10個、その横にはベルペル草20個と書かれていた。
「ね?好きに集めてきて必要数渡せば依頼達成になるから受けておかなくてもいいのよ。低ランクなら制限なく受けられるし、まあ…自分のランクより低すぎるとランクは上がらないんだけどね。」
なるほどね。ランクを上げるために依頼を受けるか、生活のために素材だけ稼ぐとかでもいいってことか…
「ふぅ~ん。」
「ポチ、あんたはまずスライムに勝たないと…ぷふっ」
「あーエルザまたなの…?」
エルザがまた笑い出してしまったが今回は慣れたのか笑いが止まるのは前回よりは早かった。
「というわけでまずはスライムで試してみましょう?」
東門から出てすぐのフィールドをとりあえず歩きながら適当にアイテムでも集めようということらしい。ここでひととおりスキルを確認したのち依頼でも受けてみればいいのではないかということだ。
門から出るときも衛兵さんにステータスプレートを見せ外に出る。今度はポチも見せることができちょっとだけどや顔である。一度来たことがあるので周りは少しだけ見慣れた感じだなーとポチは周辺を見渡す。
「ねえ、ポチ鑑定とかもってたりしない?」
「ん…たしかあったよ?」
「うわ、まじでっ」
鑑定の何がすごいのか全然わからないが何故か驚かれている。
「私達もってないから毎回ギルドで鑑定してもらってて面倒だったのよね。」
「じゃあこの草?とかも必要だったら鑑定してもらうの??」
「ああ、それはただの雑草ね。」
鑑定持ってないのにわかるの?なんで??不思議に思い首を傾げる。
「一度鑑定されたものは名前が見えるからわかるのよ。」
そういうものなのか…
ポチはおもむろに『鑑定』とつぶやき草を鑑定してみた。
名前:雑草
レベル:1
属性タイプ:土
アイテム:雑草の種
説明:ただの草。空気を清浄する役割がある。
「雑草なのにアイテム出るんだ…種?」
「厄介でしょ。雑草だから誰もが蹴散らすし、勝手に種がまかれちゃうのよね。」
それで草原が出来てしまうのか…再び辺りを見回す。
…ん、名前の出ていない草がある。もちろん『鑑定』だ。
名前:ベルペル草
レベル:1
属性タイプ:土
アイテム:ベルペル草
説明:薬の材料になる。
これ依頼にあったやつだな…見かけたら集めておこう。
周りに生えているベルペル草をストレージに片っ端から収納した。
「お、スライムはっけーん。」
どうやらスライムを見つけたらしい。アルタがスライムを手で押さえつけている。
「ほら、私が抑えてるから今のうちに何かスキル試してみて。」
まずはスキルの確認をするか…
今『錬金術師』のほうで使えるスキルは、調合1、練成1、分解1の3つだ。スキルごとの説明もさらに開いてみる。
調合…材料を組み合わせて薬などを作る。
調合ね…材料に何がいるかわからんないけど、今手元にはベルペル草がある。これは薬の材料と表示されていた。まずは使ってみるか…
『調合』とつぶやくと目の前に表示窓が現れた。
調合可能アイテム一覧
-----------------------------------------------------------------------------
・???…材料:ベルペル草×2
-----------------------------------------------------------------------------
ふむ。ベルペル草2つで何か1個出来るということでいいだろうか?
ストレージからベルペル草を2つだして再び『調合』とつぶやいた。すると手にもっていたベルペル草が別のアイテムに変化した。液体が入った小さな瓶に変わっている。瓶に入った状態と言うのがよくわからないがきっとそういうものなんだろう。
名前:ポーション
効果:体力を10%ほど回復する
「そういえばベルペル草はポーションの材料だったわね。」
「…ポーションは売れるかな?」
「そうね、まあ売れないこともないわ。」
そういえば…
「ベルペル草20個の依頼とポーション10個の値段は?」
「んーたしか…ベルペル草が銀貨1枚、ポーションが1個が銅貨2枚だから…銀貨2枚ね。でもなんで10個なの?」
「あーベルペル草2個でポーション1個作れるからだよ。」
なるほどねー買取になると少しは下がってしまうのかもしれないな~
お金は銅貨10枚で銀貨1枚ってことがわかった。じゃあ銀貨10枚で金貨1枚とかなのかな。とりあえずは作るだけ作って溜め込んでおくようにしよう。
「もしかしてスライム要らなかったかな?」
「ちょとまって。」
練成…手に触れている静止物の形を変える。
えーと…生き物以外ってことかな?
その辺に落ちていた石を手に取る。どんな形に変えてみようか少しだけ考えた。『練成』とつぶやくと手に持っていた石はナイフに形が変わる。わかりやすくて簡単な武器だとこんなもんだろうということだ。
「わっ武器だね~」
「ほぇ~」
スライムに向かいつきたてる。ぷにょっとして刺さらない。上から体重乗せるとかろうじてスライムを倒せた。
「力もないし、鋭さも足りない…武器を作ってみるのは厳しいかもしれないね。」
「うーん。使えるかと思ったけどだめだったか~」
「でも面白いスキルだね。」
うーん…力がない分鋭さがいりそうだ。たぶん本物の形や鋭さを知らないのがいけないのかもしれないな。
「ほら、これ。」
未鑑定のアイテムを渡された。どうやらスライムからドロップしたらしい。
名前:スライム玉
効果:調合の材料となる
うわさのスライム玉だ。調合で使えるみたいだ。
「スキルはまだあるかな?」
「あ、うん。あと1個~」
分解…混合物を分離する。
分解か~とりあえず『分解』とつぶやく。目の前に表示窓があわられる。
分解可能アイテム一覧
----------------------------------------------------------------------------
・ポーション…ベルペル草2個
----------------------------------------------------------------------------
だよねーこれしかもってないもん。
「よし、終わったよー」
「ん、じゃあ今度は私達の狩りに付き合ってもらおうかな~」
「うん、あまりやくにたたなさそうだけど採取とアイテムでも拾ってるよ。ところで…どこいくの?」
「そりゃもちろんあそこでしょう。」
「そうね物量で勝負ね。」
一度町に戻り冒険者ギルドに戻ってきた。少しここで待つように言われたので依頼ボードでも眺めてみることにする。『討伐』『採取』『護衛』『配達』『納品』『他』とあるようだ。『他』というのは子守や掃除などの雑用のようだ。
「おまたせー」
2人が戻ってきて目の前に立っている。
「はい、これ。」
「私はこれね。」
2人が差し出してきたものはアルタが短剣で、エルザが盾だろうか?
名前:ナイフ
攻撃力:10
属性:無
説明:刃の短い剣。両刃で使いやすい。
名前:パルマ
防御力:20
属性:土
説明:腕に装着するタイプの小型盾。木材で出来ており中央のみ金属になっている。
えーと…これをどうしろと?
首をかしげ2人の顔を見る。
「これは?」
「冒険初心者さんにおねーさん達からプレゼントよ。」
「初期装備的なものだからきにしない。」
「ふぉ?」
もらっていいらしい。
「これでスライムくらい楽に狩れるんじゃないかな。」
「ありがとーーっ」
うわーっすごいね武器と盾だよ~でもおねえさんっていうほど2人は年上なのか気になるところだけど、女の人に年齢聞いたら怒られそうだからやめとこ。
目を輝かせながら両手を見つめる。
「ほら、腰にホルスターを装着して…これでよし。」
これから冒険しますよって感じになってきたーーっ
自分の見た目を見ながらこれからのことにポチは心を躍らせている。
「で、今からどこいくんだ??」
行き先を聞いていなかったことを思い出したのでポチが聞くと、2人は目を合わせにっと笑った。
「「ダンジョン『レアス』へ!」」
どうやらこの世界にはダンジョンというものがあることをポチは初めて知ることになった。
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