ヴェディーユの配下と

 俺とレヴは魔族に囲まれた。魔族の割合はデーモンと呼ばれる異形の悪魔が多く、他は獣のタイプの魔物と少しの魔人だけ。数は合計80体くらい。80体くらいと言ってもデーモンというのは……--。


「デ、デーモンがこんなに。ただでさえデーモンは一体でも面倒くさいのに。硬くて攻撃が通り辛いから殺すの苦労するし、あと、攻撃力も高いのも面倒くさい要因の1つよね。ただ唯一の救いは速度がその図体ずうたい通りってとこなのよ。……はぁ、ねぇ、マスター、どうするのよ!?」


 そう、レヴが溜め息混じりに説明したように物理的な攻撃力と防御力が高い。身体は小さくても2メートルを超えていて平均、4メートルサイズ。


 その巨体から繰り出される攻撃は素手でも十分な破壊力を持ち、なお且つこいつらは武器を持つ。武器は片手剣、双剣、斧、槍、ハルバード、メイスなどなど、自身に合う武器を装備している。巨体のため武器は片手剣でさえ、ゆうに刃渡はわたり2メートルを超え、強度は物理的な衝撃に耐えられるよう特殊な素材を使われているか魔法で物理耐性が強化されている。


 そして防御力は硬い肉質に種族特性のパッシブ効果により魔法障壁が皮膚に展開されている。ナマクラじゃあ皮膚に届かない、業物わざものでも技術がなきゃ身体に傷を付けられない。


 そんなバケモノがデーモンだ。そしてそのバケモノが目の前に80体はいる。レヴがではこの数には勝てない。レヴであっても同時に相手に出来るのはせいぜい3体まで。そのためさっきレヴが言った『どうするのよ?』は『どうやって逃げるのか』という意味合いが正しいだろう。



「さて、どうするかな」



 俺はレヴの問いに『どうするか』悩む。俺の場合の『どうするか』は『どうやって殲滅するか』の意味合いだ。デーモンの他に魔人が数体と獣タイプの魔物が十数匹いるから倒す手順を考察しなきゃいけない。そんな考えをしている俺に空を飛んでいる魔人が問い掛けてくる。


「おい、貴様。ヴェディーユ様の土地に、引いてはヴェディーユ様自身に何用だ?」


「いや、特に用はなかったけど。たまたま通りかかったから城を近くで見ようかと思っただけなんだけど」


「ふん、そうか。なら城を近くで見ることは許可出来ない。引き返せ。……やれやれ全く。ヴェディーユ様の言い付け通りに毎回このセリフを言ってもどうせ来るのだろう」


 そう言うが俺とレヴの後ろにもデーモンも魔物もいる。その位置からデーモン共は退く気は無く、逃がす気も無いようだ。まぁ、元よりこいつが言ったように俺はここで下がる気はない。




 だから俺はまず、すばしっこく鬱陶うっとうしそうな獣タイプの魔物をアイテムボックスに……--。










-デーモン-

 武器を持つ異形の悪魔。種族特性により防御力が高く、個体差で能力や身体のサイズが大きく異なる。弱点というものは基本無く、個体の能力が高ければ高いほど弱点と呼ばれるものが存在してくる。弱点は個体によって数も種類も全てが異なり、能力が強いもの程、弱点が分かりやすい。

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