ゼロの追憶~チートマシマシにして貰う~

 俺は化け物と交渉してみることにした。


「チート能力が足りない。これじゃあチートと呼べない。」


「へ?ちょ、うそでしょ!?その力があれば大抵のことはできるよねぇ?」


「大抵のことができても魔王相手…いや、ただのモンスター相手に俺が殺される可能性がある。だからまずこの身体能力チートもチートとさえ呼べないレベルに悪いからもっと強化してくれ。」


 俺は試しに要求してみる。何時間も全力疾走しても一切疲れず、女神の頭を拳で消し飛ばせる程の身体能力チートを増しにできるか聞いてみた。


「はぁ!?それ以上ってなにすりゃいいのよ!」


「まずはそうだな…。素早さを速くしてほしい。俺が速すぎて速く動けなければ遅すぎる。だからそれくらい速く動けるようにしてくれ。」


「それ人間どころか生物やめてるよね?もはや光だよね?」


「他には…現状、固有能力数が圧倒的に少な過ぎることだな。だからもっとくれ。」


「もう3つあげてるんだけど!?あなたの行く世界では多い方なんだからね?わかってる?ってか、私の話聞いてたよね?」


「あとは…---。」




 




 なんだかんだと屁理屈をこねて俺はチートマシマシにしてもらった。これでもう安心だ。


「もうないよね?ぜぇ、もういいよね?はぁ、もう異世界行って魔王倒してくれるよね?ぜぇ、はぁ、ぜぇ、はぁ…。」


 女神という名の化け物からさんざんチート能力を授かった。女神は俺の要求に応え、俺にチートを与える作業に相当お疲れのようだ。ご苦労。


「ここまでしてもらったんだ。サクッと魔王を倒して俺が魔王になってくる。あばよ。」


 俺は自称女神に魔王討伐宣言をし、転移魔法で魔王城へ向かう。


「あんたが魔王になっちゃ意味ないでしょうがあぁー!」


 そして俺は新たな魔王となった。








 うん、流石にやりすぎた感はあるな。このチート。

















---




「レヴ、面白そうな依頼があった。こいつをやろうか。」


 俺はレヴに一番下にあった依頼の紙を渡す。


「ん、どれどれ?………『魔王城制圧』依頼!?この魔王城って私のとこの魔王城じゃん!」


「ふーん。そこってここから遠い?」


 俺は他の依頼書を眺めながらカプチーノを飲む。


「『ふーん』っておい。『ふーん』って何よ!私、魔王様に反逆するの?反逆なんてしたくないわよ。魔王様に救ってもらった恩があるから私はイヤよ!あと、あの魔王様に勝てるわけないわ。魔王様はホント強いんだからね。マスターのそのよくわかんない能力で勝てると思えないし。」


「ふーん。で、魔王城って遠いの?」


「……魔王城はここから遠いわよ。」


「そっか。なら、魔王城メインディッシュは後にとって置くとして、この依頼やろうか。」


「メインディッシュにしないで!ってか行かないで!ってか、よくよく考えたら一介のハンターに依頼する内容のものじゃないよね?それ。」


 レヴは全部にツッコミを入れていく。俺が手渡した別の依頼の紙を受け取る。


「えっと…なになに?『村近くのオークの集落を殲滅してくれ?』」


「ああ、明日それ行こう。もう遅いし俺はもう寝る。」


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