【三人目】
「ご主人たまー、ご主人たまー、もうおやつですよー」
ゆっくりと揺さぶられる感覚に、ユノはようやく目を覚ました。
霞む視界いっぱいに広がったのは、最近召喚したばかりの使い魔だ。彼もそういえば、異世界からやってきた人間だったか。
顔を覗き込んでくる使い魔の少年に、ユノは「近いぞ」と苦言を呈しながら頭を撫でた。
「せっかくフェリシアさんがフレンチトースト作ってくれたんで、食べましょうよ。ね」
「うむ、そうだな。フェリシアの甘味はとても……」
美味しい、と言いかけたユノは思い直す。
不思議そうに主人へと振り返る使い魔の少年は、首を傾げて「ご主人様?」と問う。
確かに美味しいと表現するのは最適だと思うが、今回だけはちょっと違うと思うのだ。そう、例えるなら。
「そうだな。フェリシアの甘味は、幸せの味だからな」
自分で導き出した答えに、満足げに頷くユノ。
使い魔の少年は事情を知らないけれど、何故か満足そうなのでユノに同意するように「そうですね!!」と元気よく反応した。
「よし、ナユタよ。急ぐぞ!! フェリシアのフレンチトーストが冷めてしまう!!」
「はーい!!」
ユノは使い魔の少年を引き連れて、部屋から飛び出した。
無人の部屋に、ぴらりと一枚の紙が落ちる。そこには美しく佇むユノが、たくさんの仲間と写っていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます