【二人目】
「おい、おいユーリ!! 起きろって!!」
揺さぶられる衝撃で、埃っぽい石畳の上に寝転がっていたユーリは、自分を起こした青い瞳の少年をぼんやりと見上げる。
ようやく起きたユーリに安堵したような表情を浮かべた少年だが、次には「この馬鹿!!」と叫ぶ。
「いつまでも帰ってこないから心配したんだぞ!! お前、死んだかと……!!」
「アタシが死ぬ訳ないだろう? 馬鹿も休み休み言いな」
体を起こすと、肌や服に付着した砂埃がパラパラと落ちる。
砂粒を手で払い落としてから軽やかな足取りで立ち上がると、ユーリの懐から一枚の紙切れが滑り落ちた。薄暗くてなにも見えないが、人物画のようだった。
紙の存在に気づいた少年は、ユーリの足元に落ちた紙を拾い上げる。そこに写る七人と勇者と姫君を眺めて、
「ユーリ、これ誰だ?」
「なんだい、それは?」
「ユーリのじゃねえの? だってユーリから落ちたんだぞ」
少年から手渡された紙を受け取ったユーリは、人物画を見て首を傾げる。
あれは一枚だけかと思ったのだが、全員にも配られたのだろうか。――まあ、それはそれでいいだろう。
人物の中に写り込んだ自分の姿を見つけて、ユーリは口の端をにんまりと吊り上げた。
「フェイ、このままお宝を探しに行こうじゃないかい」
「はあ!? もう晩飯だぞおい!!」
「いいんだよ。アタシの幸せは、お宝を探すことにあるんだからねェ!!」
嫌がる少年を引っ張って、ユーリは意気揚々と歩き出す。
狭く薄暗い道が、ユーリにとっての幸せの道のりだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます