【二人目】

「おい、おいユーリ!! 起きろって!!」


 揺さぶられる衝撃で、埃っぽい石畳の上に寝転がっていたユーリは、自分を起こした青い瞳の少年をぼんやりと見上げる。

 ようやく起きたユーリに安堵したような表情を浮かべた少年だが、次には「この馬鹿!!」と叫ぶ。


「いつまでも帰ってこないから心配したんだぞ!! お前、死んだかと……!!」

「アタシが死ぬ訳ないだろう? 馬鹿も休み休み言いな」


 体を起こすと、肌や服に付着した砂埃がパラパラと落ちる。

 砂粒を手で払い落としてから軽やかな足取りで立ち上がると、ユーリの懐から一枚の紙切れが滑り落ちた。薄暗くてなにも見えないが、人物画のようだった。

 紙の存在に気づいた少年は、ユーリの足元に落ちた紙を拾い上げる。そこに写る七人と勇者と姫君を眺めて、


「ユーリ、これ誰だ?」

「なんだい、それは?」

「ユーリのじゃねえの? だってユーリから落ちたんだぞ」


 少年から手渡された紙を受け取ったユーリは、人物画を見て首を傾げる。

 あれは一枚だけかと思ったのだが、全員にも配られたのだろうか。――まあ、それはそれでいいだろう。

 人物の中に写り込んだ自分の姿を見つけて、ユーリは口の端をにんまりと吊り上げた。


「フェイ、このままお宝を探しに行こうじゃないかい」

「はあ!? もう晩飯だぞおい!!」

「いいんだよ。アタシの幸せは、お宝を探すことにあるんだからねェ!!」


 嫌がる少年を引っ張って、ユーリは意気揚々と歩き出す。

 狭く薄暗い道が、ユーリにとっての幸せの道のりだ。

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