第11話

飯を終えた俺らは、この宿名物の露天風呂に入っていた。そんな中で、男子、誰が長い間ずっと風呂に入ってるか選手権を開催され、俺も無理やり参加させられていた。


「ううっ…もう無理だあああああっ!!」


1人、また1人と脱落していくから、俺ももうそろそろ上がろうかと思った瞬間、こことは違う別の場所から女子の笑い声が聞こえた。


「ほほぉ、アンタ意外と良い胸持ってんじゃん。揉ませろーーー!!」

「あははっ!!辞めてよー!!」


と、健全な男子高校生が固まってしまうのも無理はない会話だった。正直興味はあるけど、ここにいたところで見れる訳ではないから興味が薄れて風呂から出ようとした瞬間、手首を掴まれる。


「待てよ達海ぃ…にがさねぇぞぉ」


ゾンビミテェな目をして、アキラが強引に肩を組んだ。


「良いか?俺らがこの大会を開催したのはこの為でもある。合法的に女子と同じ時間帯になるようにな!!」


「お前が主催者かよ…」


半分呆れで半分驚きを感じている。だが、俺は好きでもない女の裸を見て興奮するほど変態じゃないから、特に興味は感じない。

好きな人なら?そりゃあまぁ…ね?


「くだらね。俺は出るぞ」


そう言って湯船から立ち上がって立ち去ろうとする。


「お前!あの学校三大美女の2人がこの塀の向こうにいるんだぞ!!興味ねぇのかよ!」


その声で俺の体は止まり、アキラの方を振り返って怒声を放つ。


「っ…う、うるせぇ!!まず俺はアイツらのこと好きでもねぇんだから!!」


「ほほぉ?顔を真っ赤にしてそんなこと言っても全く説得力が無いんだが?」


「るっせぇっ!!のぼせてるだけだ!!兎に角、そんなのに参加するかバーカ!!」


「んだとこの野郎!神聖な覗きに参加せぬだと!?貴様それでも男かあああああっ!!」


「神聖な覗きなんてあってたまるかってんだ!!」


そう口論を続けていると、突如、塀の向こうから気配を感じ、そこを見てみると、こちらを頭と肩の部分だけをこちらに見せている摩耶の姿があった。

3メートルは余裕である壁をよじ登ったのか、それはそれでバケモンだ。


「摩耶お前…何してんだ!」


「何って…覗き?うっ…!!」


鼻血を大量に出して鼻を抑えた。


「おま…大丈夫か!?」


「いや…達海の案外鍛えてる体見て興奮した…」


「何で興奮してんだよ…」


引越しのバイトやってるから肉体的に結構重労働だ。自然と体が鍛え抜かれていたんだろう。知らんけど。でも一応海パン履いてて良かった。俺の息子を摩耶に見られたらシャレにならん。


「つか、他の男子も居るんだから普通に辞めとけ」


塀の向こうに裸の摩耶が居て、風呂の影響で顔も赤くなっている。そんなことすりゃ誰かが余計なこと考えそうだ。


「分かってる。じゃあ、撤収」


摩耶はそう言って、塀から姿を消したのだった。

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