学校三大美女に告白されたんだが、マジでどうすればいい?
スライム
第1話
「ほーらタツ、起きて。学校遅刻するよ?」
そんな声を耳元で囁かれ、俺は意識を覚醒させて瞳を開ける。俺の腕を揺らして起こしていたのは、銀色の髪をたなびかせた絶世の美女だった。
「ん…おはようハル姉…」
この絶世の美女、南ハルカは幼い頃からの付き合いで、幼馴染というか、半分俺の姉の様な存在だ。年も俺より1つ上だし。
「おはよう。後2秒起きるのが遅かったら、王女様のキスで起こしてたわよ?」
「冗談にしちゃ笑えないなハル姉…俺だって男なんだから、もっと警戒心持った方がいいよ?」
勿論ほぼ姉の人物に欲情するなどあり得ないが、もしも、もしも、万が一というのがある。
ベットから降りて服を着替えようと寝間着を脱ごうとする。
「…な、何見てんだよ…」
「ふふっ、良いから続けて」
「いや…起こしてくれたのはありがたくて、自分勝手なのは分かってるけど…部屋から出て行ってくんない?」
いやぁ…流石に着替えを見られるのはちょっと。
「あら、別にいいじゃない。それか私にも脱いで欲しいの?」
悪戯じみた笑みを浮かべるハル姉。まったく、どんな思考回路してんのかまったくわからない。
「んなわけねぇだろ。ほら行った行った」
俺はハル姉を強引に部屋から押し出して、なんとか事なきを得たのだった。
………
……
…
私立陽炎高等学校、偏差値68を誇る超名門校、そこに必死に勉強して入った。この学校でやっていけるのかと最初は不安で仕方なかったが、どいつもこいつも俺とそんな大きな差は無かったから、かなり打ち解けられた。
そして今も、俺の席の前で駄弁っている。
「おうコラ達海…てめぇの良からぬ噂を耳にしたんだが?」
自己紹介が遅れた。俺の名前は荒山達海、この高校の2年生だ。
そしてさっきから俺の事を殺気が入ってる目で見てるのは、江上アキラ、俺の友達の1人だ。
「なんだよ…」
「お前……3年の南先輩と幼馴染だそうじゃねぇか」
「ん?まぁそうだな。ってか姉ミテェなもん…」
そういった瞬間胸倉を掴まれて血走った目で俺を見られる。
「てめぇなんって羨ましいマネを!!」
「切腹だ!!切腹させろ!」
「おい誰かセメントと人1人入るゴミ箱用意しろ!太平洋に沈めるぞ!!」
さっきまで駄弁ってた3人がマジでやばくなったから俺は必死で弁解する。
「おい待てお前ら落ち着け!姉ミテェなもんだっていってるだろ!」
「ほぅ?なら南さんがお前の家で飯を食ってたりすることもあると?」
「ま、まぁな。ほら俺って一人暮らしだからさ、時々飯作ってもらったり…」
そう言うとアイツら3人はヒソヒソと話し合いを始めた。
「……なぁアキラ、俺の親山持ってんだけどさ、完全犯罪出来るか?」
「証拠隠滅については任せろ。余裕だ」
「じっちゃんがデカイスコップ持ってるからそれ持ってくるわ」
いかん、こいつら俺を山に埋めるつもりだ。
「達海クゥン、満場一致で君を殺すことが決定した。悪く思うなよ?」
「思うに決まってんだろ!!」
「…何バカなことしてんのよアンタら」
俺らの会話に割って入った救世主は、ハル姉と肩を並べる学校三大美女の1人、神無月摩耶だった。
茶色い髪を短く切り揃え、ウェーブをかけている。ちょっとしたギャルを思わせる格好だ。
「それより達海、アンタに昨日貸したノート返してくれない?」
「ん、おぉ悪りぃ悪りぃ」
俺は鞄からノートを取り出して、摩耶に英語のノートを返した。
アイツのノートってマジで頭にどんどん入ってくるから時々借りてるんだ。
「ん、じゃあね」
短くそういって、麻也は俺から離れていった。
………
……
…
「あぁ…マジ殺されるかと思った…」
俺はアイツらからなんとか逃げることに成功した。現在は図書室で束の間の休息を取っている。
「あでっ」
後頭部が本か何かで叩かれる。
「おい達海、そこは私の席だ。譲ってもらおうか」
「ミリア…」
背後からする声は、学校三大美女の1人、ミリア=ファルハート。金色の髪を背中まで伸ばし、赤い瞳が俺と交差する。
こいつの出身はアメリカらしいが、今は留学で日本に滞在しているらしい。因みに超がつくほどのお金持ちである。
「ここは俺が座ってんだから他の席に行けよ。それに立つのめんどい」
「私の命令に逆らうのは貴様だけだぞ」
邪悪な笑みを浮かべて俺を見下す。これまでにも何度かあったし、別に対して珍しいことでもない気がするんだが。
「なんだよ…」
「ふっ、まぁいい。なら隣を使わせてもらうことにしよう」
「別に良いけどさ…」
俺の了承なんてなくても座れるから別に良い。ミリアは持っていた外国の本を開いてそれを読み始めた。
「それ面白いのか?」
「あぁ、貸そうか?」
「俺には似合わねぇから良い」
「ふふっ…お前は正直だな。まぁそこが、私がお前を気に入ってる所だ」
悪戯じみた笑みを浮かべ、俺の心臓がドクンッ、と跳ねたような感触に襲われた。
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