虐殺者

various(零下)

無力だけど祈ろう

 焼け爛れた虐殺者が意識を取り戻したとき、犯した大罪を償う術などないと理解できるのだろうか。理解できる人間であれば、初めから、このような虐殺を行ったりはしない。

 虐殺者ひとりの命を使えば時間が戻るわけでもなく、命ひとつを差し出して終わる惨劇でもない。

 なにがそんなに憎いのか。他者の創作物を鑑賞し、数十人を虐殺したくなるほどの憎しみを抱く理由がわからない。少しも思いつかない。

 ここは、プロ作家とアマチュア作者が混在する、創作者たちの場所だ。

 もしも作品あるいは作者に恨みを持つ者が「パクりやがって」と恨み言を吐きながら、編集部がある建物を空爆したら。

 もしも作品あるいは作者に恨みを持つ者が「パクりやがって」と恨み言を吐きながら、全作者の全データをクラッシュさせるコンピュータウイルスをばら撒いたら。パソコンやタブレット、スマホでこのサイトを表示した瞬間に狙撃されて殺されたら。

 あまりにも非現実的だ。作品や作者が気に入らないからといってテロ組織と結託し、建物を空爆する者がいるとは思えない。気に入らない作者を見つけるたびに狙撃してまわる者がいるとも、とうてい思えない。

 それくらい、なにか気に入らない部分があるというだけで数十人を虐殺する者が存在する事実が信じられない。

 魂を込めるように作られた作品は、間違いなく人々の心に残る。けれど、魂を注いでくれた尊い人々は、戻ってこない。

 悲しい。恨まれなければならない理由をいくら語られても理由できない。

 私は素人だが、ずっとプロ作家を目指して執筆してきた。幾度となく落選しても、夢を諦めることができない。今も諦められないからカクヨムに登録し、コンテストに参加した。夢なかばで、理不尽な理由で意識のない世界に連れて行かれたとしたら。

 もっと、作りたい作品があったはずだ。製作中の作品を完成させたかったはずだ。

 Pray For……。私は無力だが、祈ろう。専門家によると、祈りはただの気休めではないそうだ。祈りは行動を伴い、行動は祈りを伴う。

 今はなにもできなくても、各自が各場所で自分のできることをする。それがPray For○◯だと専門家は語っていた。実証的な研究によれば、祈られている人の怪我や病気の治りは早い、とも。

 悲しい。切ない。作品を観よう。既に視聴した作品も。まだ視聴していない作品も。

 クリエイターたちの魂は作品を通して視聴者と繋がっている。祈りながら鑑賞しよう。

 素晴らしい作品を心の底から楽しもう。人を楽しませるために、心を温かくするために作られた全ての作品に敬意と感謝を持って、楽しみながら視聴しよう。

 祈ります。




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