第3回「お金」2000字
「お金がなくても豊かな暮らし」
それは確実に嘘だ。金がなければ自殺を第一に考え、金を求めるために他人を襲うこと第一に考えてしまう。金は全てであり命である。「そんなことはない。ポンチャックマスターは貧しい生活の中で荒れ果ててしまったのか?」そういえる人間は豊かだからこその言葉で貧民を刺している。サディステックな思いを満たすために善人の衣を身に纏う罪から目を背けているだけなのだ。
金がなければ人権すらない。納税の義務を果たせない、労働は行っているがそれが金につながらないので労働の義務も果たしていない。子どもがいたとしても金がなくて学ばせることができないのだから教育の義務を果たせない。
この「3ない宣言」により国民として認められないのだ。金is権利だ。この国で人間として認められるために金が必要なのだ。
金がないとまずこの人権をなくしてしまう。そして第二段階は自尊心の喪失である。これは現代病とも言える。Twitterをはじめnoteもある種SNSの側面があるだろう。他人の生活が見えてしまうSNSに浸っていると周りの生活を見ていちいち卑屈になってしまうのだ。俺は寿司も変えないし肉も食えない。業務スーパーの1kg400円のウインナーをかじるのが精一杯だ。私より若いツイッタラーや人間がうまそうに高級な飯を食らい、90円以上する缶酒を飲んでいる。これに対して呪詛を持つことはない。呪詛を持つのはその人達と持っている金額が近い場合だ。かけ離れている場合はどうなるのか?謝ってしまうのだ。心の中で何度も「本当に申し訳ない」と何に対してか分からない謝罪ブームが盛り上がってしまうのだ。
「申し訳ない。ただ普通に楽しんでいるあなたを羨んで申し訳ない。私みたいな金のない人間は生きるべきではないのです」
そう3度口に出して心ある人から送って頂いた米を食む。そんな毎日が続いていく。また、多くの人が遊びや食事会などに誘っていただいても断らざるを得ない。これが精神に追い打ちを掛けていく。そして対人関係や友人関係が希薄になり、ゴミ箱のような家で陰茎摩擦のみが楽しみの毎日がはじまり心が朽ち果てていくのである。
心ある人が「ゼニの心配はするな」と誘ってくれることがある。これは本当に嬉しい。その人が神にも思える。しかし、それも数回だけなのだ。貧民としての生活に慣れないうちは申し訳無さから断ってしまう。そしてそれが数回続くと誘ってくれていた人も申し訳なくなり誘わなくなる。すると前述の通り人間関係が崩壊してしまい、心の奥に閉じ込めていたエゴが飛び出すのだ。
「どうして俺に優しくしない」
そんな謎のエゴイスティック状態に入り込み、他人からの善意を当然と捉え、善意を施さない人間に敵意を向けるようになるのである。こうなることで畜生道、餓鬼道に落ちた鬼が完成されるのだ。人間が鬼になるのは怒りでも悲しみでもない。貧しさだ。貧しさは全ての負の感情の数億倍強い。感情は形がない。しかし貧しさはその形なのだ。形に嵌め込まれ、そしていつしか貧しさの1ピースとして世界を呪い惰眠の中で死んでいく。金はそんな存在だ。金は人の心を殺すのだ。
しかし、そんな金にも唯一の利点がある。それは「人間を救える」ことだ。金、金品、宝石、食品を人に施すことで鬼の発生を食い止め、魂のステージを上げることができる。あなたは人生で何回善行を積んできましたか?それは今まで殺してきた蚊や小動物よりも多いですか?少ないでしょう。一日一善を実行している方でも一日に2個卵を食えば悪行が善行を上回る。ならば、その分善行を積もうじゃないか。聖書にもこう書いてある「金持ちが天国に行くのはラクダが針を通るよりも無理でっせ」と。そう、貧者に施しを与えることはあなたの罪を貧者に渡し、あなたが天国に近づくための手段なのである。
金がないと人間は鬼になるが、金がありすぎるとこれもまた鬼になる。天国への扉は人間にしか開かれていない。だからこそ、ここで真反対の貧者と富める者が手を取り合う理想の世界を作らなければならない。それだけが人が人として生きるための方法で、この美しい世界をより美しくする唯一の方法なのだ。あなたの罪を鬼である貧者が背負いましょう。金が欲しいのではありません。ただただ一つの祈りなのです。
原始、人は美しい世界を知っていた。それは金が存在しない世界だったから。金は生まれてしまった。そして世界に蔓延してしまった。私はあなたの医師になり、あなたも私の医師になることができる。持ちすぎてしまった富を我々貧者に受け渡し、天国へのきっぷを手に入れてみませんか?
本日は私が代表して、あなたが少しでも天国に近づくお手伝いをしようと思う。大切なのは勇気、そして愛。あなたの人生に幸あれ。500円で良い。今すぐだ。早く。私が、まだ、人間で、いられる、うちに。
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