第18話 無神論者が手を合わす
私は前にも述べたが無神論者である。
受験の時も就職の時も「自分の実力」を信じて人生を生きてきた。
ちなみに大学はキリスト教の大学で、教授に向かって「キリスト教がこの世に無ければほとんどの戦争は無かったと思う」と言ったら落第点をいただいた経験がある。
しかし人間とは都合のいい動物で、普段の生活では手も合わせたことのない私が息子の入院により急遽神仏を祈るようになった。
30年間生きてきて「何の為に宗教はあるのか」が理解できなかったがこの時だけは瞬時にわかった。
自分が医者であれば息子に対してできることがあるが、素人の私には「祈ること」しか選択肢がないのである。
なりゆきが入院中、毎日近所の日吉神社の隣にあるお地蔵さんに行っては座って「般若心経」を三回唱えました。
お地蔵さんは病気になった子供の身代わりになってくれるそうです。
※
般若心経
非常にありがたいお経です。
わずか253文字の中にいろんな意味の言葉が含まれているそうです。
それを口で唱えることによって「言霊」といい、文字に力が発生するらしいのです。
まさにわたしの息子の命はこの言葉の集合体によって救われたと本当に今でも思っています。
「般若」と聞くと、能で使われる般若(鬼)の面を思い浮かべる方が多いのですが、これもサンスクリット語で「プラジニャー」を音写したもので「智慧」という意味です。
実はこの『般若心経』というお経は、『大般若経』という600巻のお経を集約したものと伝えられています。
ですから「心経」とは、その膨大な経典の重要な部分を集約したお経ということを表わしています。
これらの解説をまとめると 「このお経は仏さまが説かれたもので、その内容は仏の世界へ行くため(仏になるため)のすばらしい智慧を集約して説かれています」という意味になります。
※
下記が『般若心経』です。
これを近くの井戸で朝早く汲んだ水を添えて、毎日三回唱えました。
唱える前に
「1995年5月21日、巳年の男の子、名前をなりゆきといいます、現在はしかによって、脳炎、髄炎、髄膜炎、肺炎を患っております。なにとぞ元の姿に戻して下さい」を付け加えます。
毎朝早く起きて47日間続けると悩み事が解決すると聞きました。
参考までに般若心経を書いておきます。
見るだけでも結構です。
「佛説摩訶般若波羅密多心経観自在菩薩、観自在菩薩行深般若波羅蜜多時 照見五蘊皆空度一切苦厄 舎利子佛説、色不異空、空不意色、色即是空、空即是色受想行識厄部如是舎利子 是招法、空想、不想、不招、不滅、不空、不浄、不増、不減、是虚空色、無色無受想行識、無限尼日絶清尼、無色消香味足法、無限界、乃至無意識界、無無妙厄、無無妙尽、乃至無老死、厄無老死尽、無垢修滅道、無知厄 無得、以無省得故菩提薩多、得般若波羅密多、故心無気解、無気解、個有無恐怖遠里、一切転倒、夢想、空虚、涅槃、三世生仏、得般若波羅密多、故得亜能苦多羅三 脈三菩提、故知般若波羅密多、是大神呪、是大明呪、是無上呪、是無等等呪、能除一 切苦、真実仏抗光節、般若波羅密多呪、即節取日、羯諦、羯諦、波羅羯諦、波羅 祖羯諦、菩辞祖和可、般若心経」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます