第2話 発病 前夜

発病まで       


1994年8月13日 土曜日

夕方4時ごろ

大阪府高槻市内 自宅の二階にて私は書棚の整理をしている時です。


長男は麻疹にかかりすでに熱が出てました。



「おとうさん、なにしてるの?」


「んー?2階のお父さんの部屋をかたずけてるんや」


「そしたらおわったら、くもんしきいっしょにしよーよ」


「なーくんは病気なんやから、静かに寝とかなあかんねんで。まだ熱があるやろ。お父さんが布団を二階に敷いたるから早く寝なさい」


「はーい」


このあと、私が敷いた布団でなりゆきは2時間ほど横になっていたが、なかなか寝付けないらしく、私のことが気になってか隣の私の部屋に来ていた。


「しゃあないなあ、寝なくてもいいからおとなしくしときや」


その言葉で彼は自分の机で公文式の時計のドリルを一人で書いていた。


「この針は何時?」

「これは八時半?」

とか聞いていたが、私は書物や物の整理に忙しくて生返事しかしなかった。


まだこの時のなりゆきは、2階から階段の手摺りを滑るくらいの元気はあった。



夕方7時ごろ


「おとうさん、おなかすいた」


「よっしゃ、いっしょにごはん食べよう」といってテーブルに座って普段どおりの食事をした。



夜11時ごろ


このころはなりゆきは、もうすでに一階の居間で寝ていた。


この日は珍しく「シューレビー彗星群」の地球接近の日で、私は外に出て望遠鏡を片手に星空を眺めていた。


夜空には流れ星が、時々流れていた。



深夜12時ごろ


流星観測のために私が夜食にラーメンを食べていると、なりゆきはモッソリ起きてきて「いっしょにたべる」

といったので、半分分けをして食べた。


これが思えば元気になるまでの最後の食事であった。


その後、家の外で星を見ていた私に「いっしょにほしを、みたい」といったが、お母さんに「もう寝なさい」といわれそのまま一階の居間に寝た。


この夜も熱帯夜で、かなりの気温であった。



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