坂出の少女 16

僕が会社に入った時、すでに彼女には恋人がいた。


僕はそれを全く知らずに、彼女に自分の苦しい恋心を打ち明け、彼女に好意と愛情のしるしを求めた。


だが、彼女の口から出て来たのは、好きな人がいるという苦い言葉だった。


彼女の言葉は強烈に僕の胸を貫き、まだ恋というものがどんなものであるかも知らされないうちに、失恋の痛手を身に負わされたのだった。


ある日、彼女が耳の病気で、病院へ入院したという知らせがあった。


僕は見舞いに行った。


病室のドアをノックすると、中から返事が聞こえた。


彼女の声だった。


彼女はベッドに横たわっていた。

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