坂出の少女 3
5月のある雨の日、僕に電話がかかってきた。
舎監室へ行き、受話器を取った。
「もしもし、黒住です」
「私よ」
「えっ、誰?」
「益岡です」
「えっ、益岡さん?」
「そうよ。わからなかった?」
「ああ。まさか君だとは思っても見なかったよ」
「今日、こちらへ来たのよ」
「今、どこにいるの?」
「女子寮よ」
「ぜひ会いたいな。そちらへ行くよ」
「そう。悪いわね」
女子寮へ行くと、玄関の所に見覚えのある傘が、立て掛けてあった。
僕は彼女の現れるのをじっと待った。
彼女は僕との約束を覚えていてくれて、会いに来てくれたのだ。
そう思うと、彼女の優しい心に感動し、なにか熱いものがこみ上げてくるのを感じた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます