『干からびたごきぶりさん』

やましん(テンパー)

『干からびたごきぶりさん』


 ある日、やましんがお散歩していると、歩道のはしっこに、『干からびたごきぶりさん』が横たわっていたのです。


 ようやく、ここまでたどり着いて、息絶えたのか、それとも、住宅の中から、掃きだされたのか?


 それは、わかりません。


 彼または、彼女が、どのような生活をしたのか、その始まりからこれまでの、深淵な時間の流れをたどり、事実のすべてをあきらかにすることは、まず、不可能です。


 優秀な科学者ならば、遠い先祖を見いだすことは可能かもしれないが、すべての史実を明るみにはできないでしょう。


 なので、もし、あすか、あさってか、もうちょい先かに、やましんが、同じ歩道に干からびて転がっていても、またく、同じことが起こるのです。


 だれも、やましんの、すべてを知ることはできません。


 免許証も、保険証も、診察券も、なにももたなければ、なおさらです。なんとかカードも、ない。


 誰なのか、特定できたとしても、いまの科学技術では、心や、意識、記憶の中身をあきらかにすることは、まだ難しいでしょう。


 ようするに、ただの、やまさんの日干しになるしかないのです。


 ほら、丑三つ時が、やってきた!


 この苦痛を救える力があるのが、クラシック音楽と、美味しい食べ物です❗


 落ちこぼれは、失うものがないです。


 ごきぶりさん、あなたの、ひからびた姿は、寝られない、やましんの心に残ってしまいましたよ。

                                          ・・・・・・・・・・・・・・・・・

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

『干からびたごきぶりさん』 やましん(テンパー) @yamashin-2

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る