贅沢病の蔓延でボクらの工場が潰れた
姫亜樹(きあき)
贅沢病の蔓延でボクらの工場が潰れた
ポカポカの
ボクは巨大なパイプの林が自慢の
工場の一員になった
初めて手にしたお金で
ボクは一つの商品を手にした
「これはなんて便利なものなんだ」
「もっともっといろんな物が欲しい」
ボクは
かかっていることに気付かずに
工場の中身を吸い
中身のない街の
イルミネィションに誘われて
またひとつ
便利なものを手に入れる
ドーパミンで支配された脳は
一か月で押入れの隅に
追いやられて
ボクはまた新しい
便利のものを求める
もっともっとと
お金を欲しがるボクらは
さらに工場の中身を吸い続け
街に出ては、物を買う暮らしを続ける
この大地を
気付かずに・・・・・
自分の身の周りを飾り付けるために
どんどん物を買い続け
工場と頭の中身をカラにして
汚れた大地を残し
次の土地へ移っていく
アスファルトの隙間の花に目もくれず
灰色の空からこぼれる光に何も感じず
次から次へと土地を移っていく
永遠にこの土地は続かないのに
ボクらは便利なものを手に入れるため
次々と工場を建て続ける
すぐに
この島国の何処にも
工場を建てる土地がなくなり
汚れた土地と
工場だけが海を渡っていった
巨大なパイプの林が自慢の工場は
空っぽの中身を隠し
雑草に埋もれていった
贅沢病の蔓延でボクらの工場が潰れた 姫亜樹(きあき) @Bungo-2432Da
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