ステータスオープン!

アステリズム

第1話

「ステータスオープン!」


 名前:レオン・シルバスティ

 性別:男

 年齢:23

 種族:ヒューマン

 職業:勇者


 体力:74000/99999

 精神力:110000/120000


 攻撃力:S

 魔攻力:S

 対魔力:S

 防御力:S

 速度:S

 精神耐性:S

 生活能力:S

 騎乗:S

 隠蔽:A

 投擲:A

 統率:A

 カリスマ:A

 説得:A

 手加減:A

 デザイナー:A

 服飾:A

 幸運:D


 スキル

 守護者

 探求者

 建築者

 魔道者

 生命神の加護

 全属性魔法


 EXスキル

 聖剣の勇者

 デビルバスター

 ドラゴンスレイヤー

 ―――――――?


 ステータス魔法で体力を確認する。


 次々と襲いかかる強敵達との連戦、四天王との戦い。仲間や大切な者を失いながら、やっとの思いでここまで辿り着いた。


 体力と精神力を温存する事が出来たのは、犠牲になった彼らのおかげでだ。だからこそ、負ける訳にはいかないのだ。


 魔王軍を壊滅させ、残るは魔王のみ。何をしても……たとえ刺し違えてでも奴を倒す。聖剣の勇者レオン・シルバスティの名にかけて…………!


 振り返ってみれば修行し、人を助け、聖剣に選ばれた日からここまでが一瞬のように感じる。重要なアイテムを怪盗に盗まれたり、数々のモンスターを倒したり……長い戦いだった。


 俺のステータスは聖剣によってブーストされているとはいえ油断など出来るはずもない。魔王の強さは計り知れないのだ。


 《ここまでみたい……アナタはきっと、どんな相手でも救うのでしょう……? 私を救ってくれて……ありがとう……私もあなたを……助けてたかった……》


(ああ、充分救われたさ……本当に、ありがとう)


 頭に響くのはもう会えない仲間たちの声。そうして、目の前の重厚な扉を開く。この重さは、仲間達の命の重さだ。


「久しいな、勇者よ」


「ブレスエイデスの戦い以来だな……魔王エルドネス」


 魔王エルドネス。単騎で国を三つ滅ぼし、魔王軍を結成して世界の大半を侵略した恐ろしい魔族の長。奴と戦うのはこれで二度目だ。


「魔王軍は敗れた! もうやめろ! 戦う必要など無い!その力を世界の為に活かすべきだ!」


「フハハハハハ! 私に慈悲を見せるか! 相変わらずだな! だが最早……多くは語るまいて。決着を付けるぞ!勇者シルバスティ!」


「やはりそうなるか!」


 そうとなれば、戦うのみ。

 感覚と魔力を研ぎ澄ませ、集中する。


 魔王は魔剣を空中に出現させ、その巨体を表すかの如く、ゆっくりと構えを取る。奴に半端な魔法攻撃は無意味。


 人差し指をクルクルと回し、こちらを挑発してくる。そちらから来ないのなら、こちらから向かうのみ!


「連撃! ウィンドスラッシュ!」


 岩をも切断する風魔法『ウィンドスラッシュ』の八連撃を放ち突撃を仕掛けるが、魔王に全て弾き飛ばされる。


 一気に距離を詰めて切りかかるが、剣先が当たる直前にふらりと回避され、逆に相手の反撃を許し、頭上に魔剣が迫る。


「この程度かぁぁぁ! チェアアアアアアッッ!」


「シャインウォォォォオルッ!」


「防げはせんさぁッ! エルダードレイン!」


 光魔法『シャインウォール』で斬撃を弾くも、継続魔法『エルダードレイン』の効果は防げない……ッ!


 徐々に体力が減っていく……なんて威力だ!


 魔王のスキル『ドレイン』は恐るべき威力を誇る。時間が経つにつれ、ジリジリと体力を奪われるのだ。戦いが長引けばこちらが不利!


 戦場となった踊り場を走り抜け、剣と魔法のぶつかり合いが激しく起こる。


「集いで結べ汝は囲い! 線を紡いで檻となせ! 拘束せよ!魔糸監獄!」


「束縛魔法か!小癪な!」


 上級モンスターすらも縛り上げる魔力の囲いを作り出し、魔王を拘束する。


「流転する慟哭、踊り狂うは戦場、我は剣を携えし者、我は勝利を謳歌する者! 踊り狂え! 剣嵐演舞!」


 聖剣を120本に分身させ、四方八方から縦横無尽で暴れ刺す、完全詠唱の大魔法『剣嵐演舞』を放つ。


「ハァァァァアアアッ! 舐めるなぁ!」


 魔王は気力で魔糸監獄を吹き飛ばし、襲いかかる剣を次々に弾いていく。それどころか飛び上がり、回転しつつ魔剣を俺に叩きつける。


「チェアアアアアッ!」


「貫くは毒牙! メルトスルゥゥゥ! ……エンド!」


「ガァァァアアッ!?」


 俺は相手の体内を貫通し、傷口から周囲を溶かす高位毒性魔法を放つ。魔王は直撃を受け、大きな隙ができる。効果アリと見て更なる『メルトスルーエンド』を放つ為に剣先を向ける。


「勇者のくせに毒とはなぁぁぁあ!」


「勝てるならなんだって利用するさ!」


 しかし、魔王は即座に魔剣から高威力の圧縮魔素を連発する。


「しまった!」


 圧縮魔素が手元に直撃し、聖剣を落とす。


 《貴方はいつも武器に頼り過ぎだ。こんな時は……覚えていますね?》


(ああ……龍五、お前の言う通りだな……)


 一発目を旋風脚の要領で回避。


 二発、三発目を連続側宙で避ける。


 そして四発、五発目をリフレクションで跳ね返す。二発を返すのが限界か。


 反射した圧縮魔素を吹き飛ばし、魔王は両手をこちらに向ける。


「やるじゃないかぁッ! だが……これでどうだ! クリスタルゥゥゥゥフィニィィィイッシュッ!」


「チィィイイ!」


 圧縮魔素は牽制だったか!?


 魔王の放つ閃光を避けたものの、広範囲で爆発が起こり、左手が水晶と化すと同時に砕け散る。回復魔法で治るとはいえ、激痛が走る。


 《ふふっ、レオンちゃん。聖剣使いなのに回復魔法が使えないなんて……いい?血を出し続ければ終わりよ、まずは焼いてでも止血なさい。傷跡や腕の一本や二本、後で私が治してあげるわ》


(先生のお陰でここまで……ありがとう……)


「――――ライト……フレア!」


「片腕でどこまでやれるかなぁ! ッツァァァア!」


「ホールドエア!」


 風魔法『ホールドエア』で聖剣を手に戻し、そのまま保持に用いて魔王と剣戟を繰り広げる。向こうも剣に魔力を込めているのだろう。凄まじい剣圧だ。


「仲間達は残念だったなぁ! だが、こちらの部下や四天王の報復としては安すぎる! 貴様もあの世に行くが良い!」


 切りつけ、切り結び、魔法を撃ち合う。実力は拮抗、ならば連発あるのみ!


「エグザスティング! ウェーブインパクト! アースブレイク! アシッドクラウドバースト!」


 魔法障壁で出来た城の外壁までをも破壊しながら、最強レベルの威力を誇る魔法を連発し、魔王を徐々にではあるが追い詰める。


「中々やるじゃないか! ガハッ……!」


 好機!


「汝は天! 地を這う者の恐れを燃やし、走るは閃光! 響くは雷鳴! 空より至りて全てを滅す! いざゆかん! 我は神の代行者なり! 唸れ!ボルテックゥゥゥエンドォォォォ!」


『ボルテックエンド』広範囲を灰燼と化す威力の雷を収束し、対象に向かって放つ雷属性魔法最強の技。


「ぐあぁぁぁぁぁああ!」


 これを受けた魔王は塵とかし、跡形もなく消え去りる……はずだった。


「ガハッ……!?」

「甘いねぇ……若造……!」


 熱さ。


 それは、今まで感じたことの無いような熱さだ。いや、熱ではない……これは……痛み。


 ふと下を見てみれば、魔剣が腹に突き出ている。傷を開き続ける、呪いの剣が。


「なぜ……後ろに……一体……」


「一体いつ、と言いたいんだね? ボルテックエンドを喰らっては面倒だったのでねぇ! 煙に隠れてミラージュアバターで分身を作ったのだよ。最も、喰らったところで死にはせんがね! ほぉぉら!」


「グハァァ!」


 背中から突き刺さった魔剣を捻られ、体内が崩壊していくのを感じる。抉れる筋肉と、骨の軋み。これは……死の音だ。


「残念だよ。君が仲間になってくれていれば心強かったのにねぇ!」


「な……にを……」


「君と私は似たもの同士だ。私達が手を組めば何でも出来ただろうに。本当に、残念だ」


 生の終わりが見える。

 そして、死の始まりが見える。

 そして、その先の何かが…………?


「お別れだ!」


 剣を動かされ、上半身と下半身がサヨウナラする前に、自ら剣を引き抜く。血が止まらない、熱と鋭い痛みが波のように襲いかかる。


「なんだとっ!?」


 そうだ、俺は致命傷を負った。ドレインの効果もあり、ジリジリと体力が削られる。だが負けない、負けはしない!散っていった仲間の為にも!


「シャイン……ウォール……エンド!」


 城壁よりも厚く、如何なる攻撃も魔力が続く限り防ぎ続ける極光の壁を作り出して時間を稼ぐ。


 ボルテックエンド以上の火力を持つ手持ちの魔法は一つのみ。しかしそれは最後の手段だ。


「なんだ?懺悔の言葉でも聞かせてくれるのかね? 今更閉じこもって何が出来るというのだね!」


 魔剣をウォールエンドに叩きつけるが、極光はビクともしない。


「我は……黄昏にて……虚無を願う者なり……」


「おいなんだ……!」


「流れるは命……飲み込むは……光!」


「それは……貴様ぁ! 死ぬとわかって自爆する気か! させるかぁぁぁあ!」


「破壊と……再生をく……り返す! 深淵!」


 魔王は様々な魔法を障壁に当て続ける。ステータスを見ると、攻撃を受ける度に精神力の減少が加速している。


「崩壊と停滞を……司る漆黒!」


「我ら魔族を皆殺しにする気かぁぁぁ!」


「我が心を燃やし……」


 その瞬間、シャイニングウォールエンドが破られ、魔王の剣が俺の首を捉える。


「させはせん! 死ねぇ!」


 魔剣は俺の首を素通りし、虚しく空を切る。単純な話だ。なぜなら俺は、そこにいないのだから。


「バカなッ! どこに!?」


「顕現するは! 破滅の理!」


「後ろだと!? ミラージュアバターか!」


『ミラージュアバター』


 自らの幻影を作り出す幻惑魔法。ここぞという時の隠し技だったが、まさか相手に先にやられるとは思わなんだ。


 確かにお前は、俺とそっくりだ。


「滅せよ! アビス・ジ・エンド!」


「バカな……我が国民を……周囲の街を丸ごと飲み飲む程の大魔法を……まさかお前が……」


 戦っていた部屋の中に、全てを飲み込む黒点が形作られていく。だが、本来の威力とは程遠い。


「俺が……そこまですると思うか……? ハッ……お前相手で精神力を使い切っちまってな……もう威力は出せない……精々……この部屋を丸ごと……飲み込むくらいだろうさ」


「――――ハッハッ! ハッハッハッハッハ! ならば良い!残念だが引き分けか! だが私にはわかる! 私の夢はいつか叶うとな! レオン・シルバスティ! いつかまた合間見えようぞ! 私は帰ってくる! ハーッハッハッハッハ!」


「さらばだ……我が好敵手。魔王エルドネスよ……」


 魔王と俺の身体が分解し、黒点へと飲まれていく。あの魔法から逃れられる者はいない。『アビス・ジ・エンド』は、圧倒的な破壊力を持つ反面、至近距離でしか使えない完全な自爆技だ。


「皆……やったぞ……オレに力を貸してくれて……ありがとう……お前もな……相棒……だが、ここで死ぬわけにはいかんだろう……まだ世界は……癒えてないんだ……!」


 《その剣を信じて。きっとそれは……貴方を導く……》


 かつて戦い続けていた俺の目の前に天から現れた聖剣。


 ただならぬ神聖さを放っていたのだが、ステータスアップ以外は特に能力を持っていなかったこの剣。


 しかし、ステータスに点滅するのは、文字化けていたはずのエクストラスキルの文字。


「これは……そうか……そうか! ははっ! そうだったのか!」


 死を思い、そして生を諦めない。それが、それこそがこの剣の能力。それこそがエクストラスキル『レイズデッド』


 死者蘇生。それは、魔法ですら成しえなかった奇跡。


 見ていてくれましたか、生命神ライフィルド様…………俺はやりました、やりましたよ…………!


 ――――――――――――

 ――――――――

 ――――


 あれ?


 なんか白いな……白くて広い……


 ん? あそこに立っているのは……ライフィルド様?


 あぁ、教会の像ってよく出来てたんだなぁ……普段は声しか聞いた事ないし……?


 ん?

 何でそんな申し訳なさそうな顔をしていらっしゃるのですか?


 何そのあっちゃ〜やっちゃったぜ! みたいな顔。もしもし? ちょっと?


 え? 魂だけしか? せめて言葉だけでも? 健康で

 、お元気に?


 ちょっと? レイズデッドは? 世界は? え? 何だかんだ大丈夫?


 あれ?真っ暗になったんだが?


 いや目を閉じてんのか……?


 おいなんだこれ……?


 どのくらいの時間がたった?

 時間の感覚が無い……!


 目が開かない……なんか、暖かい波の中みたいな……と思ったら、また明るく?


 いやわからん!耳もぼやけるし目があかん!


「――――」

「――――」

「――――――――」


 言葉……なのか?

 いや、多分言葉だ。段々わかってきたぞ。


「元気な男の子ですね!」

「おお!初めまして〜パパですよ〜頑張ったなぁユリ!」

「マジでキツかったわ……アレク……」


 おいおい、なんだよこれ。まるで赤ん坊が産まれた時のセリフじゃないか……ハッハッハ、嫌だなぁ〜?


 いや待てよ……レイズデッドってまさか……まさか……まさか!?



「おぎゃぁぁぁぁぁあああ!」



 ――――アァァァァァァァァァァアアア!


 ◇◇◇


 あれから4年の月日が流れた。

 両親の前で初めて発した言葉は……。


「ステータスオープン!」


 パパやママでは無い。ステータスオープン! である。もちろん両親は腹を抱えて笑うわけだ。何故ならば……。


 この世界には、ステータスが無い。というか魔法自体無いのだ。剣と魔法どころか銃刀法違反と物理の法則とやらに阻まれる不便な世界なのだ!


 ――――いや、不便というのは訂正しよう。


「レオ〜アイス食べる〜?」


「はい母上!」


「でも晩御飯近いのよ〜? やっぱり……」


「母上大好き! アイスよりだぁーい好き!」


「あら〜! パパには内緒よ!」


 アイスだ。れーぞーことやらで何もかもがキンキンに冷えておる。しかも温めもれんじでちんだ。そう、この世界は魔法では無く科学が発達した世界なのだ! わぁーい超便利!


 気の所為だか精神まで子供に戻ってるような気がしないでもないがそんなことは無い。これは演技、演技なのだ。これは人生を円滑に進め、誰もが不幸にならない為の……


「ただ今〜、レオ〜! ベルト買ってきたぞぉ変身ベルトだ!」


「父上! マスクドライダーベルトですか!? やったァァァァァァ」


 ――――ハッ! これは違う。別に変身アイテム如きで喜んでなどいない。例え新発売の完全再現DXマスクドライダーエグザの変身ベルトだったとしても、別に喜んでなどいないのだ。


「そんなに慌てて開けなくても……まぁCMヨダレ垂らして観てたもんな……」


 仕方ないじゃないか! 面白くてカッコ良いんだもん!


 ◇◇◇

 5歳でございます。

 あ、妹が産まれました。


 初めのうちは妹も転生者なんじゃないかと全力で警戒したが、そんな事は無い。ただのプリティベイビーでした。


 改めて子育てという物を身近で観ると、自分であれを出来るのかねぇと不安になったが、何より自分が5歳だということを思い出して笑ってしまった。


 ◇◇◇


「レオ〜、ドラゴン冒険譚やろうぜ」


「格ゲーが良いなぁ」


「お前ほんとバトるの好きだなぁ、RPGで壺割って金稼ごうぜ〜」


 はい、小学三年生になりました。


 このアホは友人の海斗。幼稚園からの腐れ縁だ。僕は幼稚園では神童と呼ばれたが全く嬉しくはない。勇者になる前は魔法研究者だった僕が子供に混じって遊ぶとは……ッ! まぁ楽しいし良いか。


 いや問題はそんな事ではないのだ。何がアレってこのRPGというゲーム。なにこれ、何この画面とステータス。これ俺の世界じゃん。


 俺の世界じゃん!


 いやぁ参りましたねホント、多分このゲーム作ったの転生者だよ。なにせしっくりきすぎるんだ。シリーズ物だし、多分昔どっかにいたんだろう。魔法の名前は違えど似たよなものだし。とはいえターン制でバトルなんかシュール過ぎて笑いが出てくるが。


 海斗はRPG大好きっ子だが僕は違う。だって現実の命懸けバトルをもう一回観たくなるか? トラウマですよトラウマ。仲間の死に際は未だに夢に出てくるってのに……。


「――――でもバトルは止められないんだよなぁ」


「また目が怖いぞレオ……」


 なんやかんやで青春謳歌中だ。いやまだ早いか。


 ◇◇◇


 遠足である。今日は茨城から出て東京ロングツリー見学に来ているわけだが。いやはや恐れ入ったね。人類はここまで高い建造物を建てるとは……いやこれ僕の世界なら神界まで届いたんじゃね? っていうか僕の世界ってどんな構造だったんだろう……そもそも惑星なのか……?


 だが、空飛ぶモンスターもドラゴンも、そもそも人を速攻殺すようなモンスターも存在しない……いや、ヤバいサイコパスとか毒虫はいるにはいるが……うむ、それはともかく、下にどこまでも続く世界は広大で……。


「レオくん、なんで泣いてるの?」


「美桜ちゃん……平和は大切にしようね……モンスターは良くないよね……」


「レオくん、時々変な事言うよね……」


 ◇◇◇


 小学5年生。勉学は最早高校生レベルまで進めている。ありがとう顧問式。ステータスは相変わらずわからなくて時々不安になるが、無いものは無いのだ。因みにリアルステータスは通信簿オール5だ。


 なによりこの世界の文学は面白い。面白すぎて英語とドイツ語まで覚えてしまった。それにしてもドイツ語は良い……何せ響きがカッコ良い……新生バラスト語とそっくりだ。


 父上はイギリス生まれな為、英語教育は完璧だ。何より俺の故郷つくば市は教育には事欠かない良い街だ。宇宙は最後のフロンティアらしいよ?


 今の今まで事件なんて起きやしないし、起きた所で今の僕には何も出来ないだろう。だって僕ちゃん5年生。ユアチューブばかり観る現代っ子なんだぜ? 無茶言わんといて。


 まぁあるとすれば……転校生の真央ちゃんにガン睨みされてる事くらいだろう。そんな目で見ないでおくれ、その目で見られるのは蛇魔獣ゴルゴルン以来だよ……まぁ石化しないし良いか。


 ◇◇◇


 中学一年生!


 私立中学に行った友人達と悲しみの別れを経験し、そして他の小学校と合流する新学期よ。友達百人出来たら良いね。


「って訳でレオ、部活どうする?」


「どうしようなぁ〜何でもよくね?」


 あぁそうですよ。また海斗君ですよ。マジか幼稚園から連続同じクラスとか正気の沙汰じゃない。少子高齢化とはいえ策略すら感じる。これ高校まで続いたら呪いだろ。


「でもさぁ〜ほら、彼女とか欲しいじゃん? やっぱ女の子多い所が良いなぁ……水泳部とか?」


「海斗、男子水泳部は薔薇園パラダイスだぞ? 女子はいないのだ」


「え゛ッ゛」


 こんなアホなやり取りをしていた中、趣味のドイツ文学を読み漁る。もう文学部で良いんじゃないかな? 良いよね、本好きなんですよ。


 この世界の本はイキナリ呪ってきたり殺しにかかってこないから良いよね。ただ勉学を積める幸せよ。


 だが多分、この行動が引き金になってしまったのだろう。ここは中学校。皆は思春期真っ盛りであり、正に黒歴史製造工場の本拠地なのだ。


「レオ君……ドイツ語に興味があるのね……」


 この人、確か二年生の先輩だ。二年生……14才……ハッ!


 あぁ、この存在は知っている。アニメで出てくるあれだ。厨二病、後々人生の黒歴史とかしてしまうとされる素敵な思い出。その歴史を今僕は垣間見ているのだ。


 まぁ元の世界だったら発症した奴は勇んで速攻死んでましたけどね。あるよね謎の全能感。君達魔法使えないからまだ良いさ、使えてモンスターまでいるんだぜ? 現実知った頃には即死ですよ。


「――――聴いてる? 君には才能を感じるわ……魔力……力……神秘を……」


 あれ? この人本物じゃね? 全部あってるよ?


 ――――まさか転生者? いや、確かに元の世界の知識を使った瞬間、この世界では黄色い救急車に運ばれて白い壁の中でカッパについて語る事になるだろう。だが今は中学生、まだ早い。運ばれるのはまだ早い。


「運命を感じるなら……付いてきなさい、魔力の子よ……」


「あ〜ちょっとだけなら……海斗はどうする?」


「パス! 俺は卓球部に入るぜ! 速さには自信があるんだ!」


 海斗よ、それは青春滅びの道ぞ……まぁ、いざとなったら妹を紹介してやろう。まぁ何だかんだ頼りになるやつだしなぁ。


 ◇◇◇


「どうこの品の数々! 魔力を感じるでしょう!」


「――――感じませんね、目線は感じますけど……」


 置いてある数々の怪しげグッズを後目に感じるのはいつもの視線、小学校時代からガン見してくるその存在。


「や、やぁ真央ちゃん……奇遇だね!」


「チャオ」


「……」

「……」


 気まずい、というかなんでここにいるんだろう。昔から無口な子ではあるけど流石にキツイ。いやもうちょっと育てば好みだよ? でも僕からしたら犯罪レベルの年齢なんですよ。貴族ならこの歳の嫁貰う人いたけどね?


「君達からは不思議な魔力を感じたのよ……よく来たわね! 魔法研究会へ!」


 うわぁ…………うわぁ…………。


 いや、一応質問してみようじゃあないか。少なくとも半分は当てたわけだし……ただの厨二病じゃない可能性も無きにしも非ずかも。


「先輩……前世の記憶をお持ちですか?」


 うん、 この聞き方は違う。違うけど違くない。違くないけど勘違いされ……あぁほら先輩の目が輝いてるもん、あれ同胞と会った顔だよ、でも空想の部類だよこれ、目が狂戦士と同じだもんよ。つまり強い、すげぇ強いんだわ。


「やはり君も悠久の時を超え、数多の世界を超越した存在! 神に従属する魂の共鳴を感じし聖なる騎士なのね!」


 うわぁ分かりずらい! 若干あってるから更にめんどくさい!


「――――レオ君も、魔法に興味があるの?」


 喋った! チャオ以外初めて喋った!

 正直チャオ製造マシンじゃないかと疑ってたんだ……。チャオ製造マシンってなんだろう……。


「ま、まぁね、カッコ良いよね魔法! 使ってみたいよね! 剣嵐演舞とか、ミラージュアバターとかさ!」


 おっと、パニクってよく分からないことを言ってしまった……そう言えばこの世界で魔法が使えたらどうなるんだろう。大体は科学で再現できるんだよね……コスパはともかくとして。


「ミラージュ……アバター……?」


「やはり才能を持ちし者……あなたの入部は運命……ようこそ神秘の世界へ……」


 BGMがやかましいような気がしないでもないが、何だかこの部室は懐かしさで溢れているとも言える。というか落ち着く。置いてあるのは聖剣じゃなくて魔剣(擬き)だけど。


「入部……します」


「ヨシッ!」


「アナタが入るなら……私も」


 ――――なぜ!?


 部活のメンバー五人を紹介され、本日の人生業務は終了……とはいかなかった。今までチャオくらいしか言ってくれなかった真央ちゃんに声をかけられたのだ。


「剣嵐演舞にミラージュアバター……剣嵐演舞を使えるのは……」


 世界の鈍化。この世界に来て、初めて命の危険を感じるこの一瞬。まさかのタイミングで命を奪われそうになる事は何度もあった。暗殺やモンスターはその都度ぶち殺してきた。


 だが、この世界では初めてのこの動悸。


「レオン・シルバスティだけ」


 この世界で初めての、恐怖。


「私の家に来て……?」


 こいつは……この女は一体……!

 まぁそれはそうとして……。


「ごめん、門限来ちゃうから帰らないと……明日で良い?」


「門限は大切ね。怒られちゃうもんね……また明日……チャオ」


 ◇◇◇


「どうしたレオ、食べないのか?」


「ちょっと……食欲が無くて……」


「おいまさか……イジメか? イジメなのか!? お前簡単にボコれるだろ! のしてやれ! 俺がやるか!?」


「パパ……分からないの? この顔は……アレよ」


「アレか……ふふっ……君とあった時、僕もこんな顔してたのかな?」


「ヤダもうっやめてよぉ」


 両方違うわ! こちとら前世の名前ピンポイントで言われたんじゃい! どんだけ恨み買ってると思います? いやこっち側の陣営なら良いよ? でも、世界二分してたらかね? 確率半々だよ?


 いや、何も同じ時系列とは限らないか。ほら未来とかの可能性もある訳じゃん? なんだ希望が見えてきたぞ? そもそも門限で返してくれる敵ってなんだよなぁ? あるわけねぇやそうだわ。


 ◇◇◇


「そう、昔聞いてた物語の勇者なの。レオン・シルバスティ。でも元のお話が分からなくてたのにその技が出てきて……一体なんのお話なの?」


「ははっそうなんだぁ! お話かぁ! 僕もあまり詳しく無くてね! どこで聞いたんだったかなぁ! わかんないや!」


 なんだよお話って! たまたまかよ凄い確率だなおい! 勘弁してくれよそんなピンポイントにさぁ……聞いてみればまるで体験した誰かが伝聞したみたいな微妙に違うふんわりストーリーだし、そもそも俺負けたの一回だけだよ? やっぱり違……違……まてよ、この子は……。


 一体それ、誰から聞いたんだ?


「ただいま〜」


「パパ!? 今日は早いのね……」


 不味い。男女の中学生が二人っきりのお家にお父さんが帰ってくる場面。これ修羅場だよ修羅場。不安に更に不安が重なってゆで卵式に増えていく感覚が僕を襲う。


「あぁ、大分片付いたのでね……っと……男の子とはな!?」


「ちっ違うの……ちょと気になって……」


「気になってか……気になって……いや、君は……君の感覚……ハッ……ハハッ! いやはやいやはや……」


 だが、不安なんて言葉じゃ片付けられない程、僕はパニックを通り越して冷静になっていた。この空気、この感覚、この間合い。全てを覚えている。全てを。


「久しぶりだな、勇者よ」


「あぁ、魔王城の戦い以来だな……魔王エルドネスッ!」


「レオ君? パパ?」


 まさかここでコイツに出会うとは思わなかった。魔王エルドネス、世界の半分を支配した伝説の魔族、青肌魔族から人間になってはいるが、そのオーラは何も変わってはいない。だが不思議と殺気は感じない。


「いやぁ、レオ君とやら……泊まって行くかい? 遠慮することは無い……積もる話もあるだろう」


「――――良いだろう。あっ……」


 真央ちゃんが明らかに訝しんでいる。それはそうだ。彼女からしてみれば初めて会った年上男性相手に意気投合しているようにしか見えないだろう。この表情を見ればわかる。この子は何も知らないのだろう。


「よ、宜しければお世話になります……」


「なんだイキナリ……あっ……よっ良かったなぁ真央! お友達が泊まってくれるぞ! パパも嬉しいなぁ! そうだろうレオ君! 手を出したら殺す!」


「嫌だなぁお父さんったら! そんな事しませんよハッハッハ!」


「「ハッハッハハッハッハ」」


 あぁ、髪の毛が全て抜けそうだ。そう言えば祖父は禿げていたそうな。


 ◇◇◇


「――――で? なんで日本にいるんだ?」


「それはこっちのセリフでもあるが……まぁ良い。長くなるぞ?」


 長くなっても別に良いが、警戒心だけは怠るわけには行かない。なにせ殺し合いをした中どころか部下も友達も仲間も殺し殺され、最期は自爆して心中した仲だ。


「あぁ、聞かせてもらおうか……」


「――――あれは、貴様の技を食らった後だった。なんかその後イタリアにいた」


 ん? なんか色々飛んだ気がするぞ?


「両親に育てられ、持ち前のカリスマと頭脳でコネとスキルを磨き上げ、知り合いのいる日本でゲーム会社を作る事になった。代表作はドラゴン冒険譚だ」


「道理でね! しっくりくると思ったよ!?」


 そう言えば会社名は魔王城だった。これは盲点って気が付くわけあるか!


「まぁそんな訳で真央の母に会ってな。今に至る」


「長くないよな? 全然長くないよな?」


 真央って魔王から名付けたのか……マジか……。


「まぁ話したくない事もある……しかしシルバスティよ、人とは脆い物よな……私はそれを初めて理解したよ」


 真央の母親は見当たらない。まさかもう……魔王もやっと人の命の儚さを覚えたのかもしれない。


「シーズンだと過労死しそうになったからな……休む事は必要だよ。人は使い捨ての電池では無いのだからな……」


「過労死の話!? 奥さんの事じゃないのか!?」


「ん? 嫁なら友人と海外旅行中だが?」


 ――――深読みしすぎました。サーセン。


「とはいえだ……やはり不慣れな物よな。ステータスが分からないというのは」


「あぁ、相手の情報をわざわざ調べにゃならんのだからな。対人スキルの重要性が高すぎるよ」


 この短い人生を振り返っても、ステータス魔法のない生活は不便だ。自分の今の状態や体力すらも分からない。相手の名前も聞かなければ分からない。だが、魔法が無い分人との会話が増えた気がする。


「なぁ勇者よ。もしもだ……もしも元の世界へ戻れるとしたら……お前はどうする?」


「あの世界は失う物が多すぎた。それに、俺が居なくても世界は回るだろうさ……だがやはり故郷だ。取り敢えずは……ステータスを開くね」


「ハッ! 今開いても録な数値は出ないだろうよ!」


「ハハッ違いないっ……そういうお前はどうなんだ?」


 魔王の嬉しそうな顔を見て、何故だろうか、不思議と敵意は消えてしまった。思えばこいつの言った通り、ある意味俺の一番の理解者は魔王だった。時代が時代なら仲間になっていたかもしれない。


「私が居なくても魔族はやって行けるだろうさ。それに……私にはもう家族がいるんでな。世界征服は業界で満足するよ」


「なら、戻る方法があっても要らんよな?」


「――――なぁ、この世界に魔法は無いと思うか?」


「どう見ても無いだろうよ。魔力すら感じないし」


「なら、これはどうだ……? トーチ」


「なっ!?」


 魔王が指先から出したのは、マッチの火にも劣る極小さな炎。しかしそれは確かに、炎魔法『トーチ』の明かりだ。


 それは、この世界にあるはずの無い魔法の姿。何年試しても実現しなかったその奇跡の技。


「一体どうやって魔法を!」


「今のが36年分の、世界中を旅した私の全魔力だ」


「い、今のが!?」


 36年分の魔力が極小さなトーチ。魔王と呼ばれた男の技だとでも言うのか……言うのだろうな。どこか悲しげな表情を見ればわかる事だ。


「今のが本気だ……だが、この世界には確かに……僅かではあるが魔力が存在する。戻る方法があったらと聞いたな? 要らんな。どんな宝より、どんな世界より……真央が一番だからな」


 魔王の幸せそうな顔に嘘はないだろう。俺も……僕も一人の人間として、そういう人生を歩んでいきたいものだ。


「所で……」


「ん?」


「レオ君……真央に手を出していないだろうね? 」


「――――ハッ! 今後ともよろしくお願いしますね? お父さん」


「ハッハッハッハッハ!」

「ハッハッハッハッハ!」


 ◇◇◇


 受験戦争を勝ち抜き、高校生になりました。

 海斗は俺と真央の教育の末、何とか同じ高校に通う事になった。因みにクラスはまた同じだ。この世界には呪いがある。間違いなくある。


 何より驚いたのは厨二病先輩だ。今では高校生占い師として一世を風靡しているのだ。まぁ俺と魔王の娘を当てたわけだからただの厨二病じゃなかったという事だ。


 真央が俺を気になっていた理由は、魔王から聞かされていたお話の主人公に何となく似ていたから……だけでは無いらしい。何か不思議な感覚があったというのだ。


 魔王のトーチ……先輩の占い……この世界には何かがあるのかもしれない。その答えが何処にあるのかは分からないが。


 ◇◇◇


 人は経験を元にして行動を起こす。最初は趣味だったのだ。だって面白そうじゃないか。せっかく人とは違う人生を歩んでいたんだぜ? 魔王みたいに商売にするのはどうかってさ。


 ということで暇つぶしに記憶から小説を書いたら新人賞を頂きました。評価は非常にリアルだとさ。そんなかんだで小金が入り、トントン拍子にゲーム化が決まる。しかも制作は魔王城。


 神様……運命ってあるんですかね……それとも遊んでおられるのですか……僕も楽しいんで別に良いですけど……。


 まぁその打ち合わせをしつつ大学受験をしたわけで。ぶっちゃけ高校入った時点で国立受けられるくらいには進めてたので苦労はせず、いや苦労した事と言えば海斗に教えることくらいだ。


 流石に海斗とは違う大学に……と言いたいところだが結局は同じ学部の同じゼミときだもんだ……。


 何故こいつは素粒子物理学なんて専攻したのだろうか。俺はどこかで……かつての世界へのヒントがあるのではと思いここまで来たのだが。


「女子居ないよなぁ……お前はいいよなぁ、中学から彼女いてさぁ」


「父親には睨まれっ放しだけどなぁ」


 真央とは違う大学に通う事になったが、今でも関係性は変わらない。これも縁と言う奴なのだろうか。


 ◇◇◇


「まさか……まさかこれが……?」


 スイス・ジュネーブ……見学の為に訪れた先で、俺は凄まじく懐かしい感覚を覚える。


 大型ハドロン衝突型加速器。高エネルギー物理実験を行うための世界最大級の施設がそこにはある。一瞬ではあるが、確かにその存在を感じ取る。まだこの世界では認知されていない力。俺達が当たり前の様に使っていたその存在。


 そこで、俺は魔力を感知したのだ。


 ◇◇◇


 あぁ、やっとここまで……まさか実現するとは思わなかったなぁ。


 地元つくば市のエネルギー加速研究所に務めている俺は、とうとうあの日に感じた物を再現する事に成功した。


 この世界に来て30年になる。もう結婚して四年目だ。何もかもあっという間で、もう子供までいるなんて信じられない。


 何が信じられないって、魔王をお父さんと呼ぶ事になった事実だ。そして何より厨二病先輩は世界有数の占い師になって売れまくっている事実もだ。


「やっとここまで来たなぁ……お前が頓珍漢な事言い始めた時はどうしようかと思ったぜ。もう一つの世界なんてなぁ」


「海斗……お前が根回ししてくれなきゃ無理だっただろうよ……感謝してるよ」


「凄い……未知の粒子が……新発見ですよ!」


 新発見か。装置も進化し、検出できなかった粒子も発見できるようになった。しかしこれは単純な話だ。これは、俺達魔法が使える者が干渉した結果だったのだ。


 粒子の衝突による極僅かな時空の裂け目から、新発見の粒子を俺が取り出した。まるで魔界から漏れだした魔素で魔法を覚えた俺達のように。


 身体に漲る感触。別世界の法則。懐かしいあの感覚。


 未知の粒子? そんな温いもんじゃない。


「ゲートオープン!」


 目の前に開かれるのは、3人程の人間が余裕で通れる程の時空門。かつての故郷へと繋がる魔法の扉。


「そんな……一体これは……二人とも、一体何を!? 危険です!」


 ゲートをくぐった先は魔素の溢れる世界。まるで何かが戻っていくような、そして何も変わらない感覚。


「あぁ、これだよ。この時が来た……」


 久々の違和感解消と行こうじゃないか。


「ステータスオープン!」


 ◇◇◇


「やったなレオ! 俺たちゃ最高だぜ!」


「あぁ海斗、お前のおかげだよ……色々苦労したけどさ……まぁ一応義弟だし?」


「おいおい義兄さんや……まぁお前にゃ散々世話になったからなぁ……いやぁ時間を散々盗んじまったな! 勇者レオン・シルバスティ! いや兄弟!今度ともよろしくな!」


「そうだぞ? お前ったらいつも……あぁ!?」


 終わり

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ステータスオープン! アステリズム @asterism0222

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ