龍と金魚

あかな

父と酒

あるところに一人の娘が居りました。娘の父親は酒作りの名人で、遠方からも買いに来る人がいるほどの腕でした。

酒作りは男の仕事とされているため、娘には継げません。娘に婿をとるか、蔵人たちの中から指名するのか……そろそろ決めなければというころ。父親は病に倒れてしまいました。命は助かりましたが、もう酒作りはできません。みな心から残念がりました。


娘は口惜しくてたまりません。

自分は男たちと同じくらい重い荷物だって担げるし、毎日父親の仕事を見ていたので何をすれば良いかもわかります。しかしおなごだからと作業場から遠ざけられてしまうのです。『なんでおなごは酒作りをしてはいけないんだろう』『自分にやらせてくれれば父親に負けないお酒をつくってみせるのに』そんな事ばかりかんがえていました。

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