【休載中】 滾り

空御津 邃

序章

福音

プロローグ 古傷

 感覚それは突如として現れる。


何の変哲も無い日常の中――夢の中でも。夢から醒めていても。時、場所、場合を問わず、平生の中にまるで蛇の様に滑り込み。


内側から切り刻まれる様にはげしく、脳裏を抉る様に――かじるように。純粋な嗜好を、良心の残滓へ、冷酷に押し付ける。


『私がをひたすらで殺し続ける感覚。』


――或いは。


『私が殺し続けられる感覚。』


誰かへの憎悪、殺しの感覚、衝動、罪悪感、人格の崩壊、人生の破滅、良心への羞恥心と、倫理観の破滅による快楽。


それら全てが、その誰かを――私を殺す度に何かを伝い、手を伝い、身体を伝う。そうして遂に脳や心。魂にまで。鈍く、烈しく、そして確かに。


――自身へ、濁流が如く止め処なく押し寄せる。


そして私はコレを……

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る