虫の知らせ
夕李
これは真実です。
私が2歳の時に曾祖父が亡くなりました。
戦争を生き抜き、きっと大往生だったと思います。
私が住んでいるのは曾祖父が住んでいる家から車で約1時間。
当時は新築、建てて1年程の一軒家でした。
聞く話によると私の父のことが大好きだった曾祖父、この家を建てるときも手伝ってくれたそうです。
そんなある早朝。
太陽が顔を出すか出さないかの時間。
緑色の目覚まし時計が大きな音をたてて鳴りました。
父は何気なく目覚ましを止めて起きました。
まぁ何時もよりは早いけど、二度寝が出きる時間でもないし・・・と。
何気なく始まった一日。
そんな中、曾祖父母、祖父母と共に生活しているおじから電話がありました。
「曾祖父がさっき亡くなった」と。
ドタバタと身支度を整え、祖父母家でお通夜とお葬式。
田舎なので家にお寺のお坊さんを呼び行いました。
私がタヌキのぬいぐるみの髭をストーブでチリチリにしてしまい、ショックを受けながら終わりました。
落ち着いてから家に帰り、父が緑色の目覚まし時計を見ると電池が入っていませんでした。
そして、目覚まし時計が鳴った時間は曾祖父がなくなって直ぐの時間でした。
「きっと曾祖父が離れてるうちに寄ってくれた」
我が家にはこの時の緑色の目覚まし時計は、
20年以上たった今でも電池が入らぬまま、主寝室に置いてあります。
虫の知らせ 夕李 @Uduti-R
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