こんなのいらない
白鷺雨月
第1話残り香
エレベーターに乗ると、ふわりと鼻腔をある香りが刺激する。
オレンジやレモンを連想させる爽やかな酸味のある香り。
それはその場所にその香りのする香水をつけた何者かが、そこにいた証明。
「なんか、いい匂いだな」
ぼそりとアキラは呟くように言った
「ええ、そうかな。酸っぱくてあんまり好きじゃないな」
隣にいる背の低い女性が言った。
猫のようなかわいらしい顔をしたこの女性はアキラの彼女だった。
アキラの自宅マンションのエレベーターでのことである。
「ねえ、そんなことより早く買い物いきましょうよ」
そう言い、アキラの手を引っ張り彼女の百合は急いでエレベーターをでた。
それは第六感とか女の勘とか言われるものだろうか、動物としての本能がこの場所から一刻も早く出るようにと告げていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます