第3話

「ジェジュンさん。お迎えありがとうございます。」


保健室のベッドで寝てた筈なのに


気付けば、ジェジュンさんの運転する車の中で


「おはよう。もうすぐ、ユノに会えるよー?」


病院は嫌いだった


兄さんは優しいのに、怖かった


「っ。」


助手席から手が伸びて来て


袖をぎゅっと掴む


「ジェジュンさ。今日は、一緒に居てくれますか?」


「ん?」


「っ。怖い、家帰りたいです。」


病院に近付き見慣れた景色に涙を流す


裏口に車を付ければ、兄さんが待っていた


「チャミナ、歩ける?」


「っ。ジェジュンさ。」


白衣を着ているだけ


何時もと変わらないのに


「ごめんな、怖かったね。チャミナ、何時ものお部屋に行けるかな?」


「にぃさ。僕、お弁当。食べれなかった。っ、ごめんなさい。」


「そっか。しんどいな、チャミナ。」


優しく抱き上げると、ぎゅっと抱きついてきて


落とさないように、ゆっくり院内を歩く


カウンセリングルームへと向かうと


「キュヒョン。」


「チャミナ?こんにちは、ん?」


「っ、ふぇえ。」


「泣かなくて大丈夫だろ?ん?」


「やぁ、帰るっ。」


「帰りたいんだ、ん。」


「にー、かえりゅ!」 


「そっか。帰るか。な?」


本音を言えば、検査もしたい


でも、大掛かりなことは家では無理でも、簡単に出来ることなら


「っく、にー、ふぇえ。」


「良いんだよ、チャミナ。怖くて当たり前。な?」


「ん!」



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