第10話 クリアネスへ(後編)

「ねぇ」

「何?」

休憩も終わって、わたし達は再びクリアネスへと足を進める。

「アリサちゃん、さっき河の水汲んでいたけれど、大丈夫なの?」

イリスのいうこともわかる。

「あぁあれね、これは、こうするの」

そう言ってわたしは道沿いの切り株に腰かけて、バックからろ過装置を出し、水筒の水を越した。

「あ、そうか」

「うん、クリア河の水はキレイだけど、虫がいたら嫌だからね。本当はちゃんと蒸留した方がいいんだろうけれど、まぁ、クリア河のはクリアネスの人も飲んでいるって話だし」

「じゃあこれもお願いできるか?」

「俺も」

わたしは二人から水筒をもらいろ過した、うん、澄んでいる、ごみが見当たらない、これはいい水だ。そうだ、たしかバックにおおきな空き瓶があったはず、あれに入れて持っていたら、錬金術の材料になるかな。

「もうちょっと汲んでいこうかな」

「アリサちゃん、まだ傷薬と蝋しか作れないんでしょ?水が腐っちゃうよ」

そうだった、河に向かうところをイリスに咎められて、わたしはしぶしぶ引き返す。

「まぁ、クリア河のならちょっと足を延ばせば取りに来られるだろ、そん時は護衛するぜ?」

ウェーバーが自分の胸をどんと叩いた、こうしてわたし達は時々モンスターにびっくりさせられたり、けっこういたい怪我も負ったり、それをなんとかイリスの薬草とわたしの傷薬でごまかしたりして、それが尽きるか尽きないかの時に、ボロボロになりながらやっとの思いで歩んでクリアネスの街が見えてきた。

「あ、なんか白い壁が見えてきた」

「アリサちゃんやったね、とりあえずクリアネスだよ!」

わたしたちは疲れも忘れて飛び跳ねる。

「この街にはどんなお宝があるのかなぁ」

「よし、とりあえず着いたら宿だな」

「宿?!」

ウェーバーの何気ない一言に、みんなは凍り付いた。

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