第9話 クリアネスへ(前編)

 エヴァンにモンスターとの闘い方を習いながら、わたしたちはクリアネスへと歩みを進めた。

 ウェーバーもなんのかんのいいながら、剣でみんなを守ってくれる。

「お前危ないんだよ!そんな宝石どうでもいいだろ!」

「いやぁこんなことろにカーバンクルがいるとはねぇ、額の宝石、高ーく売れちゃうんだわ」

「二人とも、危害を加えてこないのに可哀そうじゃない」

ピイ、カーバンクルは鳴き声を上げて脱兎のごとく逃げた、エヴァンはまだそれを捕まえようとして両手を空で切って前のめりに潰れて、わたしとイリスは笑った。

 歩いているうちに小さな水の流れが徐々に大きくなっていく、それでも魚が見えるほど清らかな、これがクリアネスに流れるクリア河だ、イリスはその辺の葉っぱで船を作って河に浮かべ、追いかけっこを始めた。

 でもまだまだ、

「ねぇ、二人とも、お茶しない?」

「そうだねちょっと休憩にしようか、疲れちゃった」

わたし達は布を広げるとバックからお菓子や水筒を出して、手頃な石に腰かけた。

「あぁ、疲れた」

わたしは水筒の水をほとんど飲み干してしまって、河で汲みだす。

「アリサ、お前もうちょっと体力付けた方がいいぞ」

「そうかなぁ」

へとへとなわたしに比べて、エヴァンは疲れたそぶりも見せずに剣の手入れをしている。

「そうだよぉ、ねぇイリス?」

「……うん、へとへと」

「気が合うなぁ、俺もだよ、あぁこのクッキー美味しいなぁ」

エヴァンも汗をふきふきしながら会話に混ざってきた、

「それアリサが焼いたんだよ」

みんなを見ていたウェーバーは剣を磨く目を真剣なものにして、そして言った。

「お前ら、やっぱもうちょっと体力つけろよ、そうだ、俺が今から簡単な体操を教えてやるから」

「え」

みんなは異口同音に嫌そうな声を出した、それを全く意に介さずウェーバーは続けた。

「いいからちょっとやってみろ、大丈夫だ、ぜんぜんきつくないから」

そういってウェーバーは簡単なストレッチを始めた

「えぇっ、今から?」

わたしは不満を口にしたけれど、その運動で足がパンパンになったってことはない、かな。

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