第7話 ナンパ師エヴァン参上!(前編)

「お前ら大丈夫か?あの黒き城が内海の孤島に降りたってから、急にあんな伝説上のものが蔓延るようになっちまって……ロイヤルジェルの奴ら、みんな勇者の絵本にある魔王が復活したんじゃないかって怯えてやがる。だから俺はそんなまやかしを破るために古い本に当たったんだ、ほんとうに魔王なんかいるのか。するとどうもロッドリーフのロック山に封印された『真実への扉』ってのがあって、そこに何か秘密があるらしいんだ、お前ら、ここにいるってことはロッドリーフの奴らだな?何か知っているか?」

???はここにいるわけを話し出した、頭にターバン巻いて、目が見えるように目を布で隠して、体にぴったりの動きやすくて軽そうな服を着ている、ふっ、と目線を外す癖があって、どことなく気障。でもあんまり嫌味に感じない。

「ロック山ならいつも行ってる、モンスターにボコボコにされるけれど……でも、何もないよ?小さな洞窟に古い石碑が、それだけ」

わたしは説明した

「えぇ?うわマジで?ショックでか!ねぇマジでマジで、その本けっこう高かったんだけれど……っていうか君可愛いじゃん、ねぇ、この道をまっすぐロイヤルジェルに行こうよ、俺案内しちゃうよ、名前は?」

この人なんか軽い、私は少し強めにはっきり言った。

「あなたこそ誰よ」

それを聞いた???は何が楽しいのか笑いながら言った

「なーんてね、さっき聞いちゃった、アリサちゃんで、そっちのおとなしそうなのがイリスちゃんだっけ?ちわーっす、俺エヴァンって言います。普段は……そうだな、ロイヤルジェルでちょっとお金持ちからなんかいい感じなもの、頂戴しています!」

「やけに元気いいけどそれ泥棒じゃない!」

わたしは言った、エヴァンは爽やかに笑って言った

「えぇだってあいつらどうせすぐ別なの買うだけじゃん、だったら、俺が頂戴したってよくない?」

あまりに当たり前のことのようにあっけなく言うので、わたしは戸惑った。

「おい、エヴァンとやら。俺らはロイヤルジェルにその『黒き城』について調べに行くんだ、知っていることはそれで全部か?」

ウェーバーは剣を抜いて刃をエヴァンの喉元に突き出した。

「ウェーバー!」

わたしは驚いて止めようとした。

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