別れ 10

僕達の間には、それ以上話すことは何もないはずであった。


だが、このまま彼女と別れてしまうのは、余りにも忍びなくて、もう少し彼女と一緒にいたいと思った。


「まだいいんだろう?」


「8時には帰らなくちゃいけないわ」


「何が用があるのかい?」


「8時からいいテレビがあるのよ。いつも見てる番組なの」


僕の心は少し傷つけられた。


「さあ、帰ろう。早く帰らないと、テレビの時間に遅れるぜ」

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