6月18日(火)
次の日の6月18日。事態はさらに悪化していった。
まず、淳子にまつわる噂が、至る所で囁かれる様になっていた。
僕の耳にも聞こえてしまうくらいだから、おそらく学年中で知らないものはいないのだろう。あの佐々木ですら僕に「あれって本当かな?」と聞いてきたくらいだ。
結論から言うと、噂はほぼ全て真実だった。
が、佐々木には「知らん」とだけ返しておいた。
そして二つ目は、女子の淳子への態度だ。
変わり方は2パターンで、淳子に「一切の頼み事をしなくなった者」と「頼み事の量が増えた者」にそれぞれ分かれた。
「一切の頼み事しなくなった者」は、淳子に怯える様に距離をとり、文化祭の準備も「何か手伝う事ある?」と尋ねる淳子に、即答で「大丈夫!」断るようになった。
「頼み事の量が増えた者」は、その頼み事の量に比例して態度も大きくなり、それまでは「本当にありがとうね」と全身全霊で感謝の意を述べていたくせに、今では「あ、サンキュ」だけで済ます有様だ。
しまいには「おせーよ」とか抜かすビッチもいたので、しっかりと下駄箱のローファーに画鋲を入れといてやった。
数としては前者の方が圧倒的に多く、後者の方が少ない状況ではあったが、淳子と必要以上に接触しない様にしているのは、みんな同じだった。
唯一、淳子の前の席の由美という女だけが、今までと同じ様に淳子と接していた。
だが、その由美という女も、相当な覚悟の元で淳子と話しているのが机の下で握る拳で見て取れた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます