生徒会の非日常

暗藤 来河

プロローグ

 退屈な授業が終わって放課後が訪れる。

 運動部は急いで教室を出て、文化部は喋りながら支度してのんびり部活に向かう。

 この天川あまかわ高校ではごく一部の例外を除いて部活動への入部が義務づけられている。

 実態はただ駄弁るだけだったり集まって宿題を済ませるだけの部活も存在しているが、学校側もそれを容認している。

 大してレベルの高くない地方の普通科高校としては部活動を通してクラス以外のコミュニティに参加させて、コミュニケーション能力や協調性といった面で生徒のアピールポイントを増やしていこうという方針なのである。

 そのため、大会で高い成績を残すことよりも、部員が毎日放課後に集まることを重要視していた。


 先程述べたごく一部の例外においてもそれは変わらない。

 僕、神田秋仁かんだあきひとはそのごく一部側の人間だ。

 ゆっくり支度をして、教室を出る。二階の教室から一階の職員室の隣の部屋へ向かう。

 二学期が始まって一週間。一年生の終わり頃から半年ほど通っている廊下を歩く。

 部屋の扉には『生徒会室』と『営業中』の二枚のプレートがかかっている。

 ガラガラっと音を立てて扉を開けて中に入る。

 こうして今日も生徒会の長い放課後が始まる。

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